2日目 和倉温泉→JR難波



前日の疲れは大いに残っていたが、この日も色々と回るので6時10分に起きる。

眠い目をこすりながら準備をし、55分にはチェックアウトに向かう。

だが、またしてもフロントに誰もいないではないか。

ここでだらだらしていてもダイヤは待ってくれないので、

宿泊代を包み、フロントに置いてきてしまった。

宿の人の顔を見ないまま出てきたのは初めてである。

和倉に幸あれ。

和倉温泉駅
心地よい秋の朝。
はいだるい
珈琲レストラン はいだるい。


さてこの日は折角なのでのと鉄道にも乗ってみることにする。

フリーきっぷで乗れないのがちと厳しいが、折角の機会は有効活用した方が良いだろう。

7時19分、和倉温泉を発ち、終着・穴水へと向かう。

かつてはもっと能登半島の先の方まで続いていたそうだが、

経営難でかなりの距離が廃止になってしまったようだ。

朝の陽光が日本海に煌めき、実に素晴らしい景観である。

ローカル線に揺られることおよそ30分、7時52分に穴水に到着した。

ここもまぁ特筆すべきことがないくらいの田舎であるが、

とりあえず写真撮ったりグッズ買ったりスタンプ押したりはできた。

特に硬券入場券を買えたのが嬉しい。

12分間滞在したのち、折り返しに乗り七尾へ。

きっぷ
のと鉄道のきっぷ。

のと鉄道も海を望むことができる。
穴水駅
穴水駅。
硬券入場券
硬券入場券。
七尾駅
七尾駅も朝はまた違う顔を見せる。
七尾線
七尾線で金沢へ。


続いて北陸本線直通の七尾線で金沢に向かう。

この区間は前述の通り、既に乗ったことのある区間だったので、

さほど重要視はしていなかった。

ボックスシートで新聞を読んだり朝食を取ったりと

それぞれ思い思いに過ごしていた。

新聞を読み終わり、ふと窓に目をやると、

ニードルか何かで掘られた落書きがあったのだが…



「JR西日本」て。

シュールすぎる落書きにカワサキのテンションも上がる。

いや落書きするにしてももっと他に書くことあるんじゃない?

誰宛のメッセージなのよ?

ここの乗客にしてみれば、運行会社がどこかなんてのは重々承知のことだろうし、

旅行客にしてみても、別にこんなところに書かんでもって感じだし。

あれか、三セクに移行するなという意思の表れか。

などと2人でしばらく盛り上がった。

そんな北陸本線に1時間30分程揺られ、

10時26分、ようやく金沢に着いた。

金沢では40分時間があるので、少々早いが昼食にした。

駅ビルに入っている喫茶店で「金沢ブラックカレー」というものを頂く。

色が黒く、千切りキャベツが乗っていて珍しい感じではあるのだが、

ステンレスの容器にステンレスの先割れスプーンというのは

ちょっと接触音が気になるところ。

美味かったからいいけど。

それにしてもなんでブラックにしたかというとこれはおそらく富山への対抗意識だろう。

「富山ブラックラーメン」というラーメンが全国的に有名になってしまったので

それに対して考案されたんじゃないかなと勝手に考えているが、

まぁ今イチ浸透してないので金沢は頑張って下さい

金沢駅
金沢駅。
金沢ブラックカレー
金沢ブラックカレー。


11時5分、またまた北陸本線に乗り込み、越美北線に乗るために今度は福井を目指す。

ところでたまたま乗り合わせた新人車掌がマジで可愛かった。

垢抜けないところがいい。

まさに鉄道むすめ。フォー!!

昂ぶる俺!! 引くカワサキ!!

本当によくついてきてくれていますわ。

さて、この移動時間はおよそ1時間30分。

ずっと立っているのも疲れるので座席に移動した。

だがこれがよろしくなかった。

疲労困憊の身で座席に着けば予想される展開はただ1つしかないのだが、

この時点では空席という甘い誘惑に勝つことができなかったのだ。

案の定2人で爆睡し、気付けば福井駅だった。

この運行ダイヤが福井行きだったのがせめてもの福井…もとい救いで、

ギリギリ折り返し待ちの間に起きることができた。

だが折角乗り換えのため20分間あった余裕は9分にまで減ってしまった。

それでもなんとかスタンプだけは押しに行った。

駅の外観を撮れなかったのが悔しい。

北陸本線
北陸本線。
福井駅
福井駅。外観はなしです。


12時49分、越美北線に乗り、九頭竜湖へと向かう。

この越美北線、氷見線・城端線よりもローカル感が強い路線であった(あくまで主観だが)。

というのも、ドアの開閉は手動で行う必要があるからだ。

手動ドアは私も一度どこだったかで遭遇したが、久々に見たのでカワサキ共々驚いた。

もちろん出発のときなんかは自動で開閉が行われるのだが、

それの勢いが尋常ではないくらいだというのもさらに我々を驚愕させる。

ぐんぐん山の中へと進んでいく越美北線。

鉄橋を渡ったりトンネルをくぐったり、いい感じで自然にとけ込んでいる。

14時15分、終点・九頭竜湖に到着した。

山の中だけあって空気が澄んでいる。

カワサキも大分テンションが上がってきたようで、ノリノリでポーズをとったりしていた。

さらに珍しく自分の希望も主張した。

カワサキ「もうちょっと観光したい」

俺「そうだね」

カワサキ「観光しようよ」

俺「ダメ」

カワサキ「なんで」

俺「ダイヤがあるから」

カワサキ「なんで」

俺「今日大阪まで行くから」

ここまで言うと、「何考えてんだお前」みたいな顔をして黙ってしまった。

ごめんカワサキ。また改めて行きな。

越美北線
越美北線。思いの外混んでいた。

トンネルを抜けるとそこは…。
九頭竜湖駅
九頭竜湖駅。澄んだ空気が美味しい。

はしゃぐペンギン。


20分の滞在ののち、また越美北線に乗って折り返す。

今度は福井でなく、越前花堂という越美北線の起点駅で降りてみる。

やはりさほど開けているわけではないがここでは50分も時間がある。

仕方がないので駅前を散策。

少しあるくとショッピングモールがあったので小休止することに。

16時を過ぎていたので流石に腹も減ってきた。

ミスドでドーナツを購入して食べながら駅まで戻った。

16時49分、越前花堂を発ち、北陸本線敦賀へと向かう。

特にもうやることもないので、私がたまたま持っていた英単語帳で単語クイズを行う。

高校以来のやりとりにカワサキも少し楽しんでいたようだ。

敦賀に着いた後は近江塩津近江今津京都と乗り継いでいく。

米原経由の方がスピードは速いのだが、湖西線もあるので、わざわざ乗り換えたのだ。

近江塩津は真っ暗、近江今津には西友と書いて「にしとも」と読むお店が。

流石にウォルマートグループもここまではカバーできていないようだ。

さて当の湖西線だが、湖の西と言うくらいだから琵琶湖が一望できるもんだと思ったが

全然見えなかった。

日が落ちていたからなのか、そもそも最初から見えないのか、真実は闇の中である…。

その琵琶湖が見えなかったのが決定打となり、プランを急遽変更した。

本来だったら桜井線和歌山線も夜中に乗ろうと思っていたのだが、

疲労の度合が高かったのと、灯りがないことが予想されるため、そちらは断念した。

俺「残念なこと言っていい?」

カワサキ「えっ…何?(不安)」

俺「やっぱ桜井線と和歌山線やめていい?」

カワサキ「そうしよう(安堵)」

湖西線は19時44分に京都に到着した。

折角の京都も乗り換えで終わってしまうのは流石に申し訳ない気分になった。

時間もさほどないので駅弁の購入だけして、20時6分、奈良線に乗り込む。


越美北線の車窓から。光と影のコントラストが絶妙。
越前花堂駅
越前花堂駅。
敦賀駅
敦賀駅に着く頃は陽が完全に落ちてしまった。
近江今津駅
近江今津駅。
栗めし
栗 松茸 牛肉 満載栗めし。
栗めし
秋の味覚が満載。


21時7分、奈良で下車。

外観は現代的だが、所々に古都の雰囲気を感じることができる。

ここで大和路線に乗り換え、この日の宿があるJR難波へと向かう。

最終的にJR難波に着いたのは22時5分。

6時起きの身体に22時を回るのは少々酷だが、

さらに大変なことに宿が少々離れており、歩きながら探さなければならない。

加えて、iPhoneのバッテリーが切れてしまった。

カワサキに頼んでみるも、彼のバッテリーもあと数%。

Googleマップで曲がる角だけを確認して勘を頼りに進む…。

奈良駅
奈良駅。古都ならではの風格が漂っていた。
大和路線
本日最後の乗車となる大和路線。
JR難波駅
JR難波駅。
心斎橋周辺
夜の大阪は怖いんやで。


入り組む路地、見るからにあちらの方が乗る高級車、

人生経験の少ない我々にとっては実に怪しい世界が待ち構えていた。

このまま闇に呑まれてしまうと思ったその刹那、

目の前にこの日の宿・グランドサウナ心斎橋が現れたのだった。

カプセルホテルでそれほど良い環境ではないが、

とりあえず雨ざらしは避けることができた。

チェックインをさっさと済ませ、ロッカーに荷物を入れると

ようやっとひとっ風呂浴びることができた。

浴場では言葉少なに翌日の予定を確認し、お互い勝手にカプセルへと戻った。

夜も深まっていたが気分転換にテレビを回していると、

お決まりのペイチャンネルも入っていた。

大体こういうのは1分程度のサンプルが流れたあとは

強制終了するもんだが、一向に終わらないではないか。

回した途端に課金される制度だったらどうしよう…。

不安に駆られるも全然止まる気配がないので、

しばらくつけていたというのは内緒である。

そんなこんなで気付いたら日を跨いでしまったので、

翌日カワサキがきちんと起きてくれることを祈りつつ床に就いたのだった。