4日目 釧路→札幌



網走の夏も寒かったです

 7時45分と、比較的のんびりした起床。スーパーホテルには朝飯が付くためしっかり頂く。この旅最初で最後のちゃんとした朝飯だ。毎度毎度、こんなんばっかりだからいつか身体をこわすだろうなと思いつつ、限られた時間での鉄旅だから致し方ない。さて、この日はただの移動日。休みは翌日までだから本当ならこの日の航空券を取ってもよかったのだが、折角来たので有効活用することにした。根室本線で戻ることはせずに釧網本線石北本線函館本線などを使って札幌に向かうのである。9時3分に釧路を発って、18時47分に札幌に着く。うーむ、改めてアホな行程だと思う。

 まず乗り込んだ釧網本線は実にローカル色漂うディーゼルカー。見渡す限りの大湿原の中をトコトコ走っていく。この日は残念ながら曇っていたのだが、晴れていれば水面に煌めく陽光が美しそうだ。湿原地帯を抜けると今度は山がちになる。さらに進むと住宅地と畑。真っ白い花が咲き誇っていたのだが、「なんか凄く咲いてるなー」くらいしか感想が出ず情緒もへったくれもない。後ろのシートの女子大生ズが「凄いね、このジャガイモの花」とか話していたので多分ジャガイモの花なんだろう。ジャガイモって花咲くんだ…。ジャガイモ地帯を抜けると今度は左手に海がお目見え。終点も近い。11時58分、網走に到着。

釧網本線
快速しれとこで網走に向かう。
釧路湿原
一面に広がる釧路湿原。ゆっくり来たい。

新人の指導中だろうか。のほほんとする。

後ろの座席のJD曰く、ジャガイモの花。

点検作業中だろうか。
網走駅
収監された気分になれる立て看。気温は17℃。夏。


愛・おぼえていますか

 続いて石北本線で遠軽へ。乗り換え時間は6分で飯を買う暇もない。遠軽まで行けば次は特急・オホーツク6号になるので車内で買えばいいかと楽観視して列車に乗り込む。女満別や美幌など何となく聞いたことのある駅を過ぎ、北見に停車。一向に出発する気配がないので時刻表を見ると、8分の停車時間が。慌てて切符とカメラとクロッキー帳を抱えて、いつものヤツを行う。全然アナウンスがないから参ってしまう。さて、北見を発つと何とも興味を惹く駅があるではないか。それは相内駅。漢字で書くと別に普通なのだが、これを平仮名に崩すと…

相内駅
さ、さみしい…!!


 一人、もとい独りということを実感した瞬間であった。やってきた旅人に「愛のない」だなんてあんまりだ。こちとら「であいのない」状態なんだよチクショウ。相内を屈強な精神でやり過ごした愛のある私は、続いて留辺蘂に降り立つ。こちらも交換待ちでしばらく停車したのだ。ワクワクして改札を抜けると、そこは無人化されてしまってがらんとした待合室だった。もちろんスタンプもなく、がっくり肩を落として列車に戻った。そこから列車は山深く入っていく。すると鬱蒼とした森の中で停まる。よく見るとホームや建物らしきものがある。この年に廃駅になった金華信号場だった。立派な駅舎があるのに惜しいが、勿体ないだけで存続はできない。駅名標が掲げられていたポールが取り残されていたのが何とももの寂しい。14時53分、遠軽に着いた。

網走駅
網走から石北本線で遠軽へ。
北見駅
北見駅。停車時間長いならアナウンスが欲しい。
留辺蘂駅
留辺蕊駅。駅名しりとりで「る」が回ってきたら、ここか留萌。
金華信号場
元・金華駅。今は信号場に。
金華信号場
駅でなくなったので、「駅名標」は撤去されていた。
遠軽駅
遠軽駅前。人はいずこに。


白滝シリーズも廃止になりました

 遠軽では特急・オホーツク6号が来るまで20分ほど時間がある。いい加減腹が減ったので周辺のコンビニで軽食でも調達しようかと思い、ぶらついてみるも、コンビニはおろか商店すらなさそうだ。というか人の気配がしない。遠軽ってそこそこ有名じゃないのと思ったが、知名度と発展具合が比例しないのが北海道だ。仕方がないので駅に戻る。併設された立ち食いそば屋があったが、当初の予定通り車内販売で駅弁を買うことにする。今度のオホーツクは札幌まで直通。乗車時間は約3時間半。特急なのに3時間半。しかも当てにしていた車内販売はなかった試されすぎだろ、北海道!!

 さてこの石北本線には金華のほかにも廃止の憂き目に遭ってしまった駅がいくつかある。たびたびメディアにも取り上げられた白滝シリーズである。下白滝は信号場に、旧白滝上白滝は信号場にすらならず廃止。一度訪れたかったが叶わなかった。せめて写真だけでもと思ったが特急の車内からではそれもままならなかった。一筋縄ではいかないのがこの大地だ。

旧白滝
元・旧白滝駅周辺。
白滝駅
白滝シリーズでは唯一残った駅。
奥白滝信号場
割に立派な建物が残るのは奥白滝信号場。

徐々に街が見え始めた。札幌も近い。

道民じゃなくてもJRに乗る

 18時47分、ようやく札幌に着いた。この日の目的地のはずだったのだが、当時の私は何を思ったか、まだ乗る時間がある! と急遽小樽まで行くことにした。札幌近郊は割に本数があるので、フラッと出て行くこともできるのだ。小樽に着いたのは19時45分。辺りはもう真っ暗だ。早いところ夕食にしようと、検索してみるもめぼしい店がない。このまま折り返すのも悔しいので南小樽まで歩くことにした。道中、寿司屋通りという街道があったが、愛のある素寒貧の私はここをスルー。歩くこと約15分。南小樽に到着。

函館本線
函館本線で小樽へ。
小樽駅
夜の小樽駅。

小樽寿司屋通り。比較的落ち着いていて雰囲気がある。
南小樽駅
セブンイレブンが存在感を放つ南小樽駅。

 さて、この南小樽ではこんなポスターが掲示されていた。廃線、廃駅、減便が進むJR北海道。そういったことを食い止めようと、沿線住民の切実な願いが伝わってくる。


がんばれ、JR北海道。


よく考えたら市内の移動は市電使えばよかった

 21時半頃、札幌に戻る。宿にチェックインして身軽になり、街へ繰り出す。はー、ようやくちゃんとした飯にありつける。目指すはすすきのの方にあるラーメン横丁。どうせなら美味い味噌ラーメンを食べたいのだが有名店はことごとく長蛇の列が。仕方なくカンで入った店がビンゴ。濃厚なスープに太麺が絡み、疲れた身体に染み渡る。散々田舎に行っておきながらアレだが、都会最高!! イエー!! 本当はもっと夜の街を楽しんでもよかったのだが、翌日もあるのでさっさと引き上げた。友人に勧められた猫のいるカフェに行けなかったのだけが心残りだ。

 移動日だったからそんなに書くことないと思っていたが、意外と書いちゃったなぁ。次で完結です。


夜の札幌駅はムーディー。

と、都会だ!!

ラーメン横丁には札幌ラーメン以外にも様々。

店の名前が思い出せないが最高に美味かった。