最終日 札幌→宇都宮



颯爽と行く札沼線

 この日は飛行機で帰るだけ。ということをしないのが私である。6時過ぎに起き、市営地下鉄・大通から同・さっぽろまで行くと今度はJRから札沼線に乗り込む。この路線、札幌から北海道医療大学までは電化されているし沿線も栄えているのだが、一方でその先から終着の新十津川までは非電化の超ローカル線。そして何といっても列車は朝の往復1本のみ。こんな有り様ではいずれ廃止されるのは必至なので、乗るだけ乗っておくのだ。

 札沼線の始発は桑園なのだが、全ての列車が札幌から発車する。電化区間は割と混み合っているが、始発なので悠々と座ることができた。ここから約40分かけて石狩当別へ。この駅でディーゼルカーに乗り換える。7分の猶予があるのでもちろん、いつものスタンプの押印と駅舎の撮影。ダッシュで撮影に出て、ダッシュで改札に戻ったら駅員さんが笑いながら「急いで急いで」なーんつって見送ってくれたのが嬉しい。

大通
大通からさっぽろまでは1駅だが折角なので乗る。

こんな感じのきっぷでした。
札沼線
札沼線の電化区間は見たことのないボディ。
石狩当別駅
石狩当別駅。立派。


テツ同士は殺伐としています

 さてさて、のんびりゆーったり終点を目指しますか〜なーんて思いきやもうものっそい人。というかテツ。しまったこの日は日曜日。暇な連中がこぞってことりっぷを楽しんでやがる。もう座る余地もほぼなかったので、仕方なく列車最後尾で後ろからの眺望を楽しむことにする。少し前まで住宅が軒を連ねていたのだが、いつの間にか荒涼とした田園風景が広がっていた。そして停車する駅の待合室は外壁の錆が目立つ。本当に廃止も時間の問題だ…。途中の石狩月形では20分程の停車時間が。考えることはみんな同じで、ぞろぞろとテツどもが改札外へ出ていく。私も含めてほぼ全員がフリーきっぷというのが切ない。こんなに乗ってるのに純粋な売り上げに繋がっていないのだ…。まあでも乗らないよりマシと、石狩月形の駅に満足して車内に戻る。ここいらで予め買っておいた朝食・ザンギ弁当を食す。朝からヘビーだ。

札沼線
1日1往復しかない貴重な方向幕。

計器類はだいぶ年季が入っている。
石狩月形駅
石狩月形駅。硬券入場券を購入。
石狩月形駅
こういう改札案内も今はなかなか見られない。
石狩月形駅
木製の案内板。ところどころ色褪せ、寂寥感が漂う。
北海道ザンギ弁当
実に北海道らしい朝飯。


最後のエクストリーム・乗り換え(乗り換えてない)

 9時28分、列車が終点・新十津川に滑り込んだ。駅に降り立つと地元の保育園の園児たちと保母さんがお出迎えしてくれ、さらに手作り絵はがきをくれた。先ほど1日1往復と書いたが、終点は1回しか列車が来ない。そんな廃線の危機に瀕した列車を、朝早く迎え入れてくれる地元の方々に心あたたまる。もちろん駅員はいないのだが、かつて窓口だったところにはスタンプが設置されていた(人がスタンプを押そうとしているのに割り込んできた厚かましいBBAにはイラッときた)

 無事スタンプも押すと、目に飛び込んできたのはある貼り紙。町役場で到達証明書を配布しているとのこと。これは欲しい。だが折り返しの列車は12分後に出てしまう。駅から役場までは、Google先生によると500m。徒歩だと7分。この旅では何度も走ってきた。考えるより先に身体が動いていた。無事役場に辿り着くと、小学校の校庭くらい広い庭が…。そこでテントの設営か何かをやっていた職員の方に話しかけると、丁寧に休日の通用口に通してくれた。そして、証明書をくださる方も突然の来訪者に親切に対応してくれた。
「よく来てくれたね。いつまでいるの?」
「実はこの後、9時40分の列車で折り返します
えっ? 嘘!? あと5分じゃない!! これ持って早く行かないと!!」
「はい、ありがとうございました!!」
「また来てくださいね!!」
 ホントに接したのは数十秒というレベルだったのにここまで懇切丁寧に接していただけるとは思いもしなかったので、このときの方々には感謝しかない。駅に戻ると出発まで残り2分。さすがに本気で走りすぎた。駅前では、こちらも地元の方が冷たい飲み物を販売していたので、思わず買ってしまった。一緒に売られていた手作り絵はがきも購入(手作り絵はがきばかりだ)。こういうゆるーい感じの田舎町が大好きだ。この愛すべき路線は是非とも残していってほしいなぁ。折り返しの列車は空いていたので、ボックスシートに席を取ってのんびりと戻る。


元・旧白滝駅周辺。
新十津川駅
新十津川駅。園児が手作り絵はがきをくれた。
新十津川駅
外観。こぢんまりとしていて実に良い。
新十津川駅
役場に行っていたから写真は全然撮れず。記憶は鮮明に残っている。

 

近いうちまた乗りに行きます

 12時15分、札幌駅に到着。帰りは新千歳空港14時40分発のスカイマークだ。ここから千歳線で空港を目指すが、最後に千歳駅に降り立つ。ここはさようなら、江差線の時に訪れておきながらスタンプを押していなかったためだ。翌日から仕事だというのに余裕を持って空港に着くなんてことはしない。休むときは全力で休み、遊ぶときは全力で遊ぶに限る。無事にスタンプも押せ、13時20分、快速・エアポート126号で新千歳空港へ。そしてこれも2駅ながら指定席を取った。26,230円の北海道フリーパスで一体いくら浮いたことだろうか。

快速・エアポート126号
新千歳空港へ。しっかり指定席券を発行。

最後もコンビニ飯。からあげ棒ではなくザンギ棒です。


 空港のチェックインも滞りなく済ませると、ここからは時間が一瞬で過ぎ去る。お土産を買ったかと思えば、すぐに東京へ向かう人々で溢れかえった機内に乗り込む。するともういくらもせずに羽田だ。そして東京駅から新幹線に乗り込むと、ふるさと宇都宮である。19時54分、長いようであっという間の旅が終わりを迎えた。

新千歳空港
さようなら、北海道。
羽田空港第1ビル駅
羽田空港。京急で品川へ。
東京駅
リッチに新幹線で帰ります。
宇都宮駅
我が県都・宇都宮。お疲れ様でした。



下車印も集めていたら最終的にこうなった。


後日談① 〜返ってきたクロッキー〜

 7月21日、新得駅から宅急便が届いた。よかったー! 無事クロッキー帳が戻ってきた!! 新得駅の方々、どうもありがとうございました。着払いで千円強だが、思い出をこれっぽっちで取り戻せたのだから安いものだ。だが、ページを捲っていくと…


ギャース!!

 せせ、せっかく綺麗に押したスタンプの上にスタンプががが…。試し押しの用紙と勘違いされたのか、それとも酷いいたずらか…。幸い被害はこれだけだったので、またいつか新得だけに行き直せばいいのだが、ショックはでかい。クロッキー帳紛失に気付いてから1時間も経っていないのに…。鉄道旅行にお出かけされる方、忘れ物には十分ご注意ください!!

後日談② 〜増毛からの贈り物〜

 12月2日、家でゴロゴロしているとインターホンが鳴る。出てみると郵便局の方が小包を抱えている。はて、心当たりは全くなかったが、送り主を見て納得。


増毛のスタンプラリーが当たっていました。

 忘れた頃にやってきた当選品。全然音沙汰がなく、とうに外れたものだと思っていた。100人に当たるとはいえ、突然の幸運にココロオドル。嬉々としながら包みを開ける。中身はこんな感じだった。

 スタンプ2個のコースだったから景品は2,000円相当の増毛名産品。洋なしジュース、ジャム、ドレッシング、モナカ、かりんとう、あられ。あとふるさと納税の申込書。ぬかりないぜ増毛…!! 留萌本線・留萌-増毛間が廃止される2日前の出来事だった。



ありがとう、留萌本線。ありがとう、増毛の方々。
また遊びに行きます。