8駅目 木路原
木路原駅。お馴染み、コンクリ塀の待合室。
天神。
久々に2時間も列車に乗ったから逆に疲れてしまった。日曜で人も多かったし。定刻の1214から5分ほど遅れて、木路原駅に到着。何人かの乗り降りがあったが、ここで降りて徒歩で2キロ先の石見川本駅を目指すのは俺1人だけだった。そらわざわざそんなことをする奇特な人はそうそういないわな。ここで雨が上がったので、さっきよりは歩くのも楽になりそう。
こんなところが通学路ですって。
これまでで一番大きな交差点。信号ねぇ。あるわけねぇ。
島根県道31号線。Wikipediaにも特記事項なし。
そろそろ街が近づいてきたか。
江の川に沿って歩く。船佐から列車に揺られているうちにいつの間にか島根県に入っていたようだ。イメージとしては広島より島根の方が田舎だと思っていたけど、なんか長谷を見てるからこれでも栄えているように見えてしまう…。ずんずん歩いていくと徐々に開けてきて、街が近づいているようだ。
9駅目 石見川本
石見川本駅。ちゃんとした駅だ!!
八幡。
時刻は13時前、三次駅以来の大きな駅が現れた。何を隠そう、ここは駅員さんがいる唯一の駅なのだ。寒いねと話しかければ寒いねとモギリの人がいるあたたかさ。思わず俵万智のような短歌を詠んでしまうくらいの感動がある。次の列車は1400発。まだまだ余裕があるのでブラブラする。
駅の目の前には観光案内所。
手ぬぐい(800円)と、案内所でもらった記念切符。
駅前ではオリジナルグッズを売っていたし、観光案内所では記念のきっぷを配っていた。いいじゃん、石見川本。町を挙げての活性化策って感じで実に良い。でも来訪者は半年で7615人か…。廃線に瀕した路線の駅としては多いのか。
さて、せっかく大きな街にいるのだからお昼ご飯を食べることにする。入ったのは駅から数百メートルのところにあったこちらのお店。
田舎にありがちなたたずまいの飯田食堂。
素朴な味わいのおうどん。
昔ながらの食堂って感じの、田舎の駅前にあって然るべきお店。店内には旅行中の老夫婦などがちらほら。座敷席に通された私は、おそらく看板メニューと思しき鍋焼きうどんを注文。天かすにワカメに玉子に薩摩揚げ。素朴ながらボリュームのあるおいしいおうどんでした。腹もふくれたし、この日の後半戦に入りますか。
駅に向かうと、やっぱりテツの方々が大挙していた。でもいいんです、混んでても。どうせ2駅分しか乗らないから。
既に沢山のテツが乗り込んでいた。
ミラーに映る列車も良い。
10駅目 竹
竹駅。色々とシンプルな駅。
鹿島。
Take a train at Take! (竹で列車に乗りなさい。) まぁ降りたんですけど。ここからは次の乙原まで、また歩け歩けの強行軍。とはいえもう雨は上がっているし、乙原で乗る列車は1642発だから2時間半くらいのゆとりもある。のんびりゆっくり景色を楽しむことにする。
塞の神トンネル。240mは車ならすぐだけど徒歩だと長く感じる。
乙原駅はあと少しのようだ。
案内板の先がこれ。私道かっていうレベル。
田園の中にバス停が。ちょうど出たばかりのようで、次は3時間後。
バス停を越えて、ホントーに人ンちの敷地じゃないのかってくらいの道を進むと、小高い丘の上に乙原駅の姿が見えた。
11駅目 乙原
乙原駅。竹駅とほぼ同じつくりになっている。
帯舞。
こんなトイレすらないような場所で2時間待ちというのは修行もいいところ。扉付きの待合室があるのがせめてもの救いか。何にも下調べせずにプラン組んだけど、これ風雨を大して凌げない竹駅で2時間待ちだったらきつかったなぁ。こういう運の良さは我ながら凄い。
何もないところで何もせず待っていると「もしかしたら列車が来ないんじゃないか」という不安がよぎる。そんな中やってくる列車のありがたみはえも言われぬものがある。いくらダイヤがスカスカでもなくなると困るぞ〜。次は約50分かけて石見都賀駅へ。
12駅目 石見簗瀬
石見簗瀬駅。かつては駅員さんもいたんだろうなぁ。
岩戸。
BONUS STAGE!
石見都賀に行く前に降り立ったのがここ、石見簗瀬駅。本来、別の日に訪れる予定だったのだが、急遽この駅に来て駅数を稼ぐことができたのは頑張った俺へのご褒美としか思えない。
というのも、この日は日曜。お客さんの数があまりに多く、列車備え付けのトイレの水がなくなってしまったのである。汚い話だが、便器に流れなくなったトイレットペーパーが山積み状態になってしまったのだ。そこで苦肉の策として道中トイレ休憩を挟むという事態に相成ったわけである。トイレに行きたい人全員が戻ってくるまで発車しないという、JRにしてはなかなか乙な対応をするということなので、これは僥倖とばかりに、乗り合わせたテツの方々はトイレに行くふりをして駅舎の撮影などに繰り出したのだ。無論、俺もその流れに乗る。乗るっつーか、降りるっつーか。
運転台を撮る。
ぞろぞろと出てきた。
駅舎に備え付けられた電話。まだ生きてるのだろうか。
満喫したところで“トイレ”から戻る。
明けない夜はないとはよく言ったものだが、であればもちろん暮れない昼もない。時刻は17時すぎくらいだが、冬の足音が聞こえるくらい日没が早くなっている。山あいだから余計なのかもしれない。ただでさえ寂しい沿線風景の寂寥感がどんどん増していく。
車窓から臨む江の川。
銭婆のところにでも連れてかれるんじゃないかしら。
13駅目 石見都賀
石見都賀駅。時刻は1730すぎ。
髪掛けの松。
ここで降りたのはやっぱり俺だけ。みんな旅を終えて三次駅へ行くんだろうなぁ。翌日は平日だし。でもそんなの関係ねぇ! 俺はまだまだ休みなので行ける限り行くんです。さてこの駅、外に出ようとすると、およそ想像だにしなかったものがさも当然であるかのように現れるのだ。
???
???
怖ぇーよ。異世界への入口かよ。
跨線橋とかならまだ分かるけど、駅のある小高い丘を真下に掘ってトンネルをつくってるのはそうそうないんじゃないか。
外に出た結果がこれ。だから
怖ぇーって。ぱっと見
地下壕かなんかの遺構ですかんねこんなん。基本的に列車旅って、降り立つ方が到達感あるけど、ここに関して言えばこの入口からホームに出た方がその感じがあるかもしれない。
さて、時刻は1740ごろ。次は約6キロ離れた石見松原駅に行きたいのだが、石見松原では1823発の列車に乗りたい。
北海道の旅みたいに走るのはゴメンだったので、
タクシーで石見松原に向かうことにした。実は時間が有り余っていた乙原駅でタクシー会社に電話していたのである。時にはこういうのを上手く活用することが大事。
尤も、「石見都賀駅につけてください。行き先は石見松原駅」って伝えたら、「何言ってんだコイツ」って表情をしてるのが電話越しに分かったけれども。
14駅目 石見松原
石見松原駅。タクシーのテールライトが眩しい。
戻り橋。
ありがとうタクシー!! 自動車は偉大だ。歩いたら1時間かかるところが、ものの数分で着いてしまうのだもの。
そうして着いた石見松原駅だが、またここも私道じゃないの? って道を入っていったところにあった。再び雨が降り始めてきたし、灯りもないのでその道を撮るのは断念。ホームに降り立つと何かもう一周回って幽玄。最早、雅やかな雰囲気が醸し出され、わびさびを感じる。かなり疲れてきて思考回路もショート寸前で何を言ってるのか分からなくなってるだろうが、この日はあと2駅。気力を振り絞って列車を待って沢谷駅へ。