22駅目 石見川越
石見川越駅。この辺りは山あいといった感じ。
頼政。
1405、石見川越着。閑散とした山あいの集落といった感じの駅である。ここに建つ比較的立派な駅舎は、何となく北海道の札沼線新十津川駅のような雰囲気がある。もちろん人の姿はないが、窓口が在りし日の面影を感じさせる。
札沼線新十津川駅のようなテイスト。
かつては列車を待つ人でにぎわったのだろうか。
窓口のカウンターには埃が溜まっている。
外観。これまでの駅に比べたら立派な部類。
続いての目的地は田津駅。ここから2.8キロ。列車の時刻まで2時間弱あるので時間的には余裕である。ならば沿線風景を楽しみながら歩くことにしてみよう。心のゆとり、大事。
旅の癒やし。呼んだら逃げられた。
線路を横切らないと家に行けない構造。踏切は近くにない。
カーブミラーが緑に飲み込まれて人類滅亡後の地球か。
こういう踏切には情緒がある。
歩こう、歩こう、わたっしは〜現金なやっちゃな歩くのトホホとかいいつつしっかり楽しんどるやんけ。他に誰一人として歩いている人はいなかったけど、ひた歩くというのも悪くないですなぁ。だから色々見つけては写真を撮っちゃう。例えばこれ。
花。
花2。
線路脇で美しく咲き誇っていた、ピンクの花と黄色い花。明るい花だが花には明るくないので名前は存ぜぬ。大体名前なんてのは人間が便宜的につけたものであって、当の花たちはそんなことを気にせず立派に命を全うしているのだ。生ある内のかりそめの名前に拘泥、固執したところで本質の美を見極めなければ何の意味も…あ? 今文句言ったのは誰だ? 俺の名を言ってみろ。
果たして集配は来るのだろうか。
大分開けてきた。
なーんついながら歩いているうちに第1田津踏切ですって。ちゅうことはもう間もなく田津駅に着くんでないの。ほーらほらほら。見えてきました見えてきましたよっと。
23駅目 田津
田津駅。普通。
羯鼓・切目。
はいーやることないー。
後ろのお宅からちょいちょい生活音が聞こえてくるほか特筆すべき点はない駅だった。列車もほぼ定刻通りやってきたのでするりと乗り込む。
あーあ。なんかまた沢山乗ってるよ。と、乗り込んだ途端に妙な雰囲気が私を襲った。いやに空いているロングシートに座ると、ほんの数メートルの距離に六角精児さんの姿が。
すかさずスタッフが私にくれたのがこのペーパー。「六角精児の飲み鉄本線日本旅」。すげぇタイミングでロケに遭遇したな〜。俺もビックリしたけど向こうも途中駅で謎に乗り込んできた俺におどろいていたことだろう。ちょっと先に有名人がいるとなんかそわそわしちゃうね。田舎もんだもの。本当は写真でも撮ってもらえればよかったんだけど向こうは仕事中なのでモブになることに徹しました。
24駅目 粕淵
粕淵駅。比較的人の気配のする駅。
神武。
一応切符が買えるらしい。
猶予が13分しかなくてもノートを書く。
1700ちょうど、粕淵駅に到着。車内でちょっと会話したスタッフさんに会釈し、駅舎の撮影のためBダッシュ。なにぶん1713に次の列車が入ってくるのだ。待ち時間が長すぎるのもアレだが短すぎるのもアレだわね。
ところでここはスタンプがあるらしい。といっても観光協会のスタンプだから駅スタンプではないのだが、せっかくなので押しておきたい。既に出札を行う業務委託の窓口は閉まっていたが、人がいたので声を掛けたら押させてくださいました。聞いてみるもんだ。ノートも書いてささっとホームへ出ますよっと。
ホーム。
美郷町のみさ坊。うり坊ってことか。
絶妙にかわいくない美郷町のみさ坊を尻目に入線を待つ。もうこの辺りから書くこともないしどんどんいっちゃえ。ただただ駅を消化していくだけ。虚無。
25駅目 明塚
明塚駅。赤に非ず。
黒塚。なんか惜しい。
田園のど真ん中にありやす。
写真が少なくてこんなのまで使うことに。
1719着。1817発まで待機。ちょっと寒くなってきた。あとなんかわざわざ車で駅舎を撮影しに来た人がいた。列車が来る頃にはもう真っ暗で心細くなってくる。この日はまだあと数駅残っている。折れそう。
26駅目 浜原
浜原駅。交換設備があるだけあってデカい。
大蛇。
青い駅名標が渋い。
デカくてもやっぱり暗い。
あたりはもう真っ暗。浜原駅は周辺に何もないけど発着の拠点となっているため比較的列車の往来は多い。その分駅舎も立派だ。ブラブラしていると反対方向からの列車から六角さんご一行が降りてきた。二度目の邂逅にテンションだだ上がり。どうも駅舎内で地元の方と交流するらしい。ロケってこんな感じなんだ〜クルーは大変だなぁと。
今更だけど車内には割としっかりした運賃表がある。
夜の石見川本。日中の賑わいは感じられない。
1903、浜原発の終列車で江津方面へ向かう。一旦石見川本で列車待ち合わせ。六角さん一行はここで下車していった。取材に同行していたJR西日本の広報担当スタッフはまだ乗っていたからおそらく江津まで行くのだろう。彼らも大変だ。
さて、私はというと、江津の2駅手前の千金で降りる。千金で降りて江津の宿まで歩く。最後の最後で4キロ弱の徒歩だけどまぁ大丈夫でしょう。
おお、なんか久々に都会の喧噪が味わえそうな気がする! もう一踏ん張りであったかいご飯にありつけるんだから気合いを入れ、2119、千金に降り立つ。
27駅目 千金
千金駅。直感でヤバみを感じる。
日本武尊。
く、くらー。
これは今までの比じゃないくらい暗い。期せずしてダジャレみたいになってしまったがマジでヤバげ。直感がそう言っている。
フラッシュ焚いてようやくこれ。一寸先は闇とはまさにこのことで、さーっと血の気が引いてきた。救いの列車はもう来ないし、車が通る気配もなくお先は真っ暗。でも歩くのをやめたら寒さで凍え死んでしまうので泣きながら歩く。もう絶対終列車で途中下車したりしないんだから!!
対岸は国道。うっすらと灯りが見える。
落石注意? 確かに左側は崖だけども。
あれに見えるは…。
!!!
落石ばっかじゃねぇか。
こえーよ島根県道112号線。
あっちは明るそうなのになぁ…。
真っ暗な県道112号を歩いていく。
おわ〜なんか文明的なものが見えてきた。
!!!!!
ぎゃーす!!
じじじ自販機じゃー!! ということはもうすぐ人里じゃろうて。ありがたやありがたや。
ぎゃぎゃーす!!
ええええええ駅じゃー!! ということは間もなく人里じゃろうて。あな幸甚なり。江津本町を過ぎたら江津は近いはず。
江津本町駅の内部には怒りの警告が。
とりあえず思いの丈を記入。
江津本町駅を超えて歩く。街だ…。
ようやく街灯のある道路に。
この橋の向こうは、さっきまで羨望の眼差しで見ていた国道側。
!!!!!!!
あああーようやく着いた…。江津…。灯りって偉大。宿って偉大。一部屋空いていたスーパーホテルに万歳。もういい加減泥のように眠りたいがお腹も空きすぎてこのままでは眠れない。だが時既に遅し。辺りの飯屋は閉まっていた。オゥシット。あとあるのはジモティー御用達のような飲み屋だけ。えぇい、ままよ。地元のおいしいものがあるに違いない。こんばんはー。
ビール!!
鶏のタタキ!!
焼き魚!!
とん平焼!!
最高。
客は俺一人だったけど、気さくなマスターとの会話で旅の疲れも癒やされる。ってか、千金から歩いてきたっつったら、あの道はイノシシ出るから危険なんだって。イノシシて。なんでそんなことをするのって言われたけどそれが生きがいなんです。ジモティーもなかなか三江線は乗らないんだってさ。その三江線で六角さんを見たっつったら、昨夜はこの店にフラッと来て飲んでたんだって。前日だったら会えてたのか…。マスターとの話は尽きないが、翌日も早いので3品で撤収。ごちそうさまでした。
28駅目 江津
江津駅。駅前に何もありませんでした。
八十神。
なんかもう撮った記憶がない。
今日も頑張るぞ〜。
10月17日。また5時台ですよ。人の営みなんてないんじゃないかってくらい静まりかえった江津の街に、煌々と輝くのが鉄道駅なんです。何がアレって、駅前にコンビニすらないというくたびれっぷり。江津ってそこそこの市なんじゃないんけ。もう朝飯が取れないのは日常茶飯。茶飯といいつつメシはない。これからまた行軍という戦があるのに武士の如き高楊枝で0553、三次行の列車に乗り込み鹿賀駅を目指す。つら。