そばがあるね feat.手塩弥生山テルマ

 前日の興奮冷めやらぬまま迎えた朝0645時。0729時発のバスで駅に向かって0754時名寄発の下り線に乗るというスケジュールのため早起きなのだが、既に天塩弥生駅の食堂車には良い香りが漂っていた。その正体はなんとこちら。

音威子府そば


 前日味わうことが叶わなかった音威子府そばである。電話予約の際に助役さんが「朝ご飯もぜひ」とおっしゃっていたのはこれがあるからかと納得。無理言って早い時間にした我々(Fくんは巻き添えだが)のために早くから準備して下さった駅長と助役には感謝しかない。音威子府そばは真っ黒なだし汁が最大の特徴で、麺はしっかりとした歯ごたえがあるように思う。助役の話では、駅そばの休業もそうだが、製麺会社の跡継ぎ問題で音威子府そば自体が存続の危機に瀕しているという。人が少なくなるとこういう問題も起こるのか…。このほかにも採れたての生卵や大根の煮物なんかもあって、至れり尽くせりの朝ご飯だった。

音威子府そば
Fくんが箸上げしてくれた
朝食
朝からしっかりしたご飯


 ぺろりと平らげると早々に出発の時間だ。天塩弥生駅にも置かれていた駅ノートに書き込み、助役と写真を撮り、旧深名線に沿って走るバスに乗り込む。朝早いというのに見送りに来てくれたみんなに手を振り、名寄駅へ向かう。

駅ノート
「来駅」した人たちが爪痕を残していくノート
天塩弥生駅
天塩弥生駅の外には線路もないのに踏切が
天塩弥生停留場
駅があった場所がバス停に
天塩弥生
ジェイアールバス北海道が深名線を運行

記念撮影


今行っておきたい秘境駅には行きませんでした

名寄駅
工事中の名寄駅
名寄駅
キハ同士の切り離し

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券名寄駅(5枚目)。


 少々バスの遅れがあったものの無事名寄に到着。うーん、工事で外観が全く分からないのが残念。フリーきっぷを持たないFくんが乗車券を購入する間、急いで窓口で駅スタンプの押印とご当地入場券の購入を済ませる。ホームではキハ40とキハ54の切り離しが見られた。ここからはステンレスの無骨なボデーのキハ54に乗って幌延に向かう。のんびりとした単行列車が北の大地をさらに北へ行く。
 するとこちらは山も深まる豊清水駅。一度停まってなかなか発車ァいたしやせん。となると気になる運行ダイヤ。調べてびっくりこんなところで列車交換。したらば降りるがテツの魂。降りて撮って戻ってと、降車駅一駅計上でござい〜。

豊清水駅
列車交換を行った豊清水。一緒に降りたテツがちらほら
豊清水駅
豊清水駅の待合室
天塩川
心地よい風が車内に吹き込む
安牛駅
車窓から望む秘境・安牛駅


 名寄から幌延までは乗車時間が約2時間半もあるが、左手に併走する天塩川の清流と澄んだ空気、それにちょこちょこ出てくる秘境駅が我々を楽しませてくれるのだ。1031時、列車は幌延駅に滑り込んだ。



幌延駅
幌延駅
幌延駅
のんびりした空気が駅舎内に流れている
幌延駅
跨線橋に掲げられた手描き看板の味わいよ
幌延駅
Fくんが記念にと撮ってくれました

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券安牛駅(6枚目)。


幌延駅で売られていたのは安牛駅のご当地入場券。これは両駅のある幌延町が、秘境駅で街おこしをしようとしていることの一環だろう。幌延町公式ウェブサイトによると同町にある8つの駅のうち6つが秘境駅という極めっぷり。でもこの入場券のためにスタンプの図案を作るなら、スタンプそのものも作ってくれればいいのに。20分くらいの滞在で幌延を後にし、豊富駅へ向かう。



豊富駅
豊富駅に駅員さんはいないので注意だ!
豊富駅
駅舎内には喫茶店が入っているぞ! (撮り忘れました)

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券豊富駅(7枚目)。


 豊富駅には駅員さんはおらず乗務員さんが待機しているだけの駅だった。ということでご当地入場券の販売など窓口業務は駅に併設された豊富町観光情報センターで行っている。そこのフレンドリーなおばちゃんから「こっちはほぼ地震の影響はない」という話を聞き、安心したのも束の間、続いて乗るはずだった1159時発の特急宗谷が来る気配が全くしない。するとさっきのおばちゃんが駅構内にアナウンス。

「特急宗谷は15分遅れという連絡が入りました」

ぶっふぉーん。

豊富駅
Fくんに撮られた私が撮っていたのは…
コスモス
コスモスでした
看板
気分爽快!! サロベツ
特急宗谷
遅れてやってきた特急宗谷。


 ようやくやってきた特急宗谷に乗り込み、目指すは一路、稚内。初めて向かう最北端の駅に降り立つのが待ち遠しく、胸が高鳴る。ちなみにFくんはこの宗谷に乗るために豊富から稚内までの特急券を買った。結果的に費用はフリーパスとトントンくらいだったらしい。



別れの稚内〜乗り継ぎのF〜

利尻富士
すげー立派な利尻富士
2人
男2人ツーショット
 

 左手には立派な利尻富士の屹立を望む。そして間もなく訪れる別離を前に車内でツーショット。そう、実はここまでついてきてくれたFくんは翌日仕事があるため、この日のうちに宇都宮に戻らねばならないのだ。そして稚内なんていうところにまで行くものだから、稚内空港から道内線で新千歳空港に飛び、そこから乗り継ぎ便で羽田に飛ぶ、およそ斜め上を行く行程を取るという。私も大概だがFくんも相当なアレ。一方の私はというと、稚内に着いたら折り返しの特急サロベツ4号で南を目指す。だからね、稚内駅で現地解散

なんて旅だ。





 

 結局特急宗谷は10分遅れで稚内に到着した。即ち、私が稚内に滞在できるのは残りの約10分。人は皆、「1本遅らせればいいじゃん」という。無論、私だってできることなら長く最北端の駅を味わっていたい。だがオホーツクの荒波を耳に聞くこの路線は、そんな考えで通用するほど甘くないのだ。1301時の次発は1746時だ。うん、ただの旅行ならいいけどこれはエクストリームスポーツである。Fくんの協力を得て10分でできるだけのことをした。

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券稚内駅(8枚目)

稚内駅
駅舎の撮影とスタンプの押印を行い…
稚内駅
日本最北端の線路で記念撮影し…(撮影:F)
稚内駅
最北端の線路で記念撮影し…
美深駅
日本最北端稚内驛で記念撮影し…


   そして、発車1分前。

稚内駅


 最北端の線路の前で2ショットを撮るやいなや、Fくんに別れを告げ改札を通った。なんつーか、感慨に耽る間もなかったね。ありがとうFくん。君のことは忘れないよ。まぁ1週間後に宇都宮で会ったけど。

宗谷岬
Fくんから送られてきた宗谷岬の写真
宗谷岬
「自撮りも送れ」っつったら送ってきた自撮り


私はひとり宗谷本線に乗り

 

 稚内を出た後はひたすら移動。たまに降りてご当地入場券を買っては移動。私は心をなくした移動マシーンと化した。まずは稚内から特急で3時間かけてやってきた士別



わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券士別駅(9枚目)

士別駅
士別はサフォークの街らしい
士別駅
未だ伝言板の残る駅
 

 続いて剣淵。本当は比布にしようと思ったけど、ご当地入場券を取り扱う比布駅併設のピピカフェが定休だったためこちらに。



わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券剣淵駅(10枚目)

剣淵駅
剣淵駅
丸八おざわ
ご当地入場券を扱う駅前の「丸八おざわ」
剣淵駅
スコールの後の夕焼け
剣淵駅
跨線橋の上から。
 

 無人の剣淵駅のご当地入場券は駅前の商店で取り扱っている。この店では、ご当地入場券の発行に合わせて新たに作ったという駅スタンプも押させてもらえるぞ! ここから北剣淵まで歩いてみようかと思ったけどスコール並の夕立が来たのでやめた。無茶はしないのだよ。あたりはすっかり暗くなってきた。地元の高校生で賑わう列車に乗り込み、宗谷本線の起点、旭川へ向かう。

旭川駅
薄暗い旭川駅で臨時特急に乗り換え
旭川駅
方向幕に臨時の表記が
 

 旭川では1900時発の特急カムイ44号に乗るはずだったが、これが地震の影響で運休になって代わりに臨時特急が運行することに。尤も乗客からしたら大した変更はないのでそのまま乗車し札幌へ向かう。所要時間は約1時間半。



セイコマ? セコマ? セイコー?

札幌駅
札幌駅もなんとなく薄暗い
札幌駅
人の数も少ない気がする


 道内最大の鉄道駅、札幌。苫東厚真発電所の停電の影響でいつもより暗く、人の流れも少なかった。そんな状況だからこそ、お金を落としていかねばならぬ。というわけでこの後は千歳線の3駅にも降り立ち、入場券を買うのであった。

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券札幌駅(11枚目)

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券北広島駅(12枚目)

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券恵庭駅(13枚目)

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券千歳駅(14枚目)



 並べてみると壮観だなぁ…(恍惚)

 以前はスタンプがなかった北広島駅にも新設されていたので、これもたぶんわがまちご当地入場券の発行に合わせて作成したのだろう。入場券の効果は偉大だ。この日は最後に千歳駅から苫小牧駅へと向かうのだが、地震の影響で普通に行けば25分くらいのところが45分くらいかかったかな。



わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券苫小牧駅(15枚目)

苫小牧グリーンホテル
苫小牧グリーンホテル
夕食
焼そばとザンギとサッポロビールで悲しい夕食


 苫小牧に着く頃に時刻は23時近くを回っていたのでメシは道民のオアシス・セイコーマート。深夜帯にもかかわらず残っていた焼そばとザンギをサッポロビールでかっ込む。北へ南へ大移動を果たしたのは、翌日、全線バス代行中の日高本線に乗りに行くからだ。15分ほどで食事を終え、すぐさま床へついた。