牡蠣食えば 牡蠣はなくなる 法隆寺
もう4日目なんだからいい加減ゆっくりしたいところだが起床時刻は朝6時。ヒェー。札幌からどこへ向かうかというと、根室。夕張に行けない今、私の目的は駅スタンプとご当地入場券を集めることだけになっているから、とりあえず遠くてめんどくさそうなところを攻めようという魂胆なのである。しかし鉄道の営業キロで483.9キロというこの区間、乗り換え案内では新千歳空港から根室中標津空港の空路を使えと案内される始末だ。よくよく考えたら東京〜大阪間とほぼ等しいやんけ!! そんな距離だから0700時発の特急スーパーおおぞらに乗らないと全ての予定が狂ってしまうのであった。ここにこそ新幹線あれよ!!
北海道新幹線を全道に通せ
一路釧路へ
記事の上では、あっ
わがまちご当地入場券釧路駅(21枚目)
という間に
釧路駅に着いてご当地入場券を買ったことになっているが、札幌駅を発ってから実に
4時間が経過している。1100時に釧路に着いて、根室方面の列車が出るのが1112時。あんだけ時間があったはずなのに乗り換え時間はたったの12分。こんなんちょっとみどりの窓口に列ができてたらご当地入場券買えんレベルやんけ。無事買えて乗れたからいいけど。
花咲線に乗るのは
2016年の北海道旅行に続いて2度目である。この日は平日だったがそれなりに人が乗っていたので少々驚いた。窓からはひんやりとして澄んだ空気が流れ込み、人いきれする車内をリフレッシュしてくれる。花咲線区間でまず降りるのは
厚岸駅だ。
厚岸といやぁ「かきめし」の本場ではないか。厚岸着は1158時。昼時だから駅前で販売しているという本場かきめしでも食べますか。俺は牡蠣が大好きなんだヤッホイ!!
雄大な釧路川を望む
厚岸駅で初下車
こういうのは根室にもあった気がする
これが噂のかきめし販売店だが…
定休日でした。
もっとも木曜定休というのは時刻表にも記載されていることなので分かっちゃいた。だけどさ、例外ってのがあるじゃない? この日はたまたま木曜だけど気分で開けますよ〜みたいなさ。そんな甘っちょろい期待は儚くも散ってしまった。人生は厳しいのだ。駅でスタンプの押印とご当地入場券の購入を済ませ、跨線橋を渡った先にある道の駅に行くことにする。
わがまちご当地入場券厚岸駅(22枚目)
道の駅厚岸グルメパークは小高い丘の上に立地していた。思いの外斜度のあるアスファルトをひたすら登ると見えてきたのは「厚岸味覚ターミナル・コンキリエ」。果たしてこの施設はグルメパークなのか味覚ターミナル・コンキリエなのか。判然とせずモヤモヤするがとりあえず食事にありつこう。ところで途中、案内標識があってしかるべきところに写真が掲示された謎標識があって、北海道の人は自由だなぁっておもいました。またいきたいです。
奥に見える建物が道の駅か
これは何を案内する標識なんだ…
多分正面に見えるのは苫東厚真発電所
道の駅は海を一望できる小高い丘の上にあるのだ
グルメやら味覚やら名乗るだけあって、施設内には食事エリアが充実していた。が、充実しすぎてバスツアーだか敬老会のレクリエーションだかの行き先になっているようで、一つのレストランは高齢者の団体で満席だった。幸運にも隣にあったオイスターバルピトレスクが空いていたので入ってみる。おお、オーシャンビューのカウンターが実にいい雰囲気を醸し出している。ここではランチの牡蠣丼を注文。ここまで大したものを食べてないのでたまには贅沢にいただきます。
すいていたので入ったバル
シャレオツなランチである
ほんで極めつけがこれ。
はいどーん
まるまる一個牡蠣がついてくるランチなんて最&高以外のなにものでもない。プリプリの食感に加え、レモンの酸味と牡蠣のコクとが相まってほっぺたが落ちそう。厚岸を訪れたらここに行かないという選択はないね。普段駅以外の場所に行かない俺が言うんだから間違いない。
ちなみにこの道の駅でもご当地入場券を売っているので何の気なしに買ってみたら、衝撃の発見があった。
わがまちご当地入場券厚岸駅(22-2枚目)
図柄は一緒。だが、応募券の左側をよく見ると厚岸駅発行の隣に「簡」の文字が。そう、各駅のみどりの窓口以外で発売されるご当地入場券には「簡易委託」を示す「簡」の文字が入るのである。ということは厚岸のようにみどりの窓口と別の場所で発売している駅は「簡」の有無が違う2種類の入場券があるということなのだ。えっマジか。今まで全く気付かなかったよ。他に該当するのを調べてみると、名寄やら稚内やら。もうなんかしばらく行かなそうなとこばっかやんけ。
となりのトコロ
さて花咲線は一日に数えるほどしか運行本数がないため、厚岸で待つくらいなら一駅歩こうというのが乗り鉄のあるべき姿である。ほんなら一日あたりの下車人員が少なく、いずれ廃止の憂き目に遭ってしまうのではないかと危惧される糸魚沢駅に行こうと思ったのだが、10キロ以上あり、大人の足でも2時間はかかるため断念した。七国山病院か。じゃあってことで向かうのは糸魚沢とは逆方面の門静駅。こちらは5キロほどなので歩くにはちょうどいい距離かもしれない。厚岸のとなりのトコロへ。
海沿いは潮風が心地よい
季節が分からなくなる
うち捨てられた車。雑草の成長が時間の経過を物語る
お前、ここは電化されてねぇだろ
暑い陽射しに潮騒、そしてタンポポと、9月だというのに春なのか夏なのか秋なのかよく分からない道をずんずん歩いていく。心地の良い潮風が頬をなぜていくが、直射日光を一身に浴びているから水でも被ったかのように汗が噴き出てくる。誰か車に乗せてくれないかなと淡い期待を抱くも、根釧国道をひた走る人々が歩道を行くちっぽけな人を気に掛ける訳がなかった。世知辛い。そしてえっちらおっちら歩いて門静駅が見えた頃にはなんだかんだで14時近くなっていて、発車まであと十数分しかなかった。あぶねー。もちろん無人駅なのでご当地入場券などはないのであった。
国道沿いには廃墟が点在している
チャリで旅する人に追い越されていった
厚岸では牡蠣とシートベルトは等価
あずまやみたいな門静駅
♪ねーむろねむろねーむろ東端 ♪ねーむろねむろは最東端
どんな駅にも定刻通りやってくる
おそらく別寒辺牛湿原ってところ
定刻通りやってきた列車に乗り込み根室駅へと向かう。鉄道というのは偉大である。厚岸から汗だくになって歩いてきたのに列車だと一瞬で着いてしまうからだ。ただし、部分部分では一瞬でも、それが積み重なると無限にも思えてくる時間が流れるのだから不思議である。なんせこっから根室まで2時間弱だ。車窓からはカモメの大群が悠々自適に飛び回っている。今私の願い事が叶うならば翼が欲しい。
浜中町はモンキーパンチ先生のふるさと
駅舎の窓をそのまま顔ハメにする潔さ
待てど暮らせど神が翼をくれないので列車の中で時間を持てあましていると、天から降り注ぐ声があるではないか。まぁ天というかワンマン運転士なのだが、その運転士が列車交換待ち合わせため少々停まります、なんて言っているのだ。ここは一度も降りたことのない茶内駅。なんという僥倖。JR神は翼でなく停車時間をくれたのだ。これ幸いと茶内で降りてみたら待合室内でタバコをふかすおじいさんがいたりして、なんというか自由すぎる風土に面食らうも、ぽんと置かれた銭形警部のスタンプを発見したので言うことはありましぇん。
茶内でのラッキーパンチ、いやむしろモンキーパンチにほくほくしながら列車に戻って数十分。途中電波が届かなかったり放牧された牛がのんびりしていたり、ああ、前に来たときもそういえばこんな感じだったなぁ。牛と言えば、初田牛もいつか行かないと廃止されちゃうよなぁなんて思っていたらホントーにその通り廃止の憂き目に遭うことになるのだが、ここの訪問記はまた次のお話。
コトコト走っていく
初田牛駅。後々廃止される運命にある
なんとなく人の気配が出てきた
今回は下車せず眺めるだけ
1559時、よーやく根室駅に着いた。この駅への来訪は2度目。駅前には郷土料理?
エスカロップを出す喫茶店があるが、今回はすぐ折り返すため食べられないのが残念だ。何? エスカロップが分からない? そんなときは
こちらを読むといい。
わがまちご当地入場券東根室駅(23枚目)
根室本線終着駅にして
日本最東端の有人駅・根室駅で売っていたのは、根室本線終着駅の1つ手前の駅にして
正真正銘日本最東端の駅・東根室駅のご当地入場券だった。東根室の駅前は住宅地でセイコーマートすらないからここでの販売となるのだろう。何? 東根室について知りたい? そんなときは
こちらを読むといい。ちなみに根室駅には東根室駅のスタンプも置いてあるのだが、以前訪問したときとビミョーに絵柄が変わってサイズも小さくなっていたので報告しておく。
滞在時間はわずかだがやることはやる
隣で一緒に写る人はもういない(宇都宮にいる)
駅構内に雑然と置かれた案内看板。なんだこれ
さよなら根室
スーパーおおぞら12号で私は私は池田へと旅立ちます
さーて滞在時間10分でそのまま折り返し釧路に向かうのだが、所要時間は2時間40分。もういい加減アホくさくなってきた。でも息を飲むような夕焼けだったので心は非常にランランラリルレロリララン。嘘でーす。全然心はざわついてまーす。なぜなら夕方に出たのに着くころには夜だから。音威子府で買っておいたヨウカンは実に美味しかったです。おぴえぴえ。
夕陽が綺麗
夕陽が綺麗パート2
音威子府のヨウカンをここで召喚
カムバックトゥ釧路
体感的にはもう22時くらいだが釧路駅の時計は19時前を指している。ひたすら列車に揺られていると時空が歪んでいるのではないかという気分にさせられてくるが、どうもこれは現実のようなのでおぴえぴえ言っていても何が起こるわけでもないのだから自ら歩を進めるしかない、というわけで私は乗った。列車に。またしても。
7時ちょうどの特急スーパーおおぞら12号で向かうのは池田駅。各停と比べて格段に快適な車内でうつらうつらしながらシートに座っていると急ブレーキがかかる。吹き飛ぶ茶、転げ落ちる老婆、泣き叫ぶ赤ん坊、車内は阿鼻叫喚の地獄絵図…になるほど人は乗っておらず、乗客は一様にアナウンスを待っていた。しかし私はアナウンスがなくとも知っていた。この急ブレーキの原因が何であるのかを。
「エゾシカと衝突しました。確認のため少々お待ちください」
いつも通りの変わらぬアナウンスに安堵さえ覚えた。シカに衝突して遅延——。JR北海道はこれこそが平常運転なのである。15分後、乗務員さんたちが安全確認を終え、列車は何事もなかったかのように走り出した。
スーパーおおぞらはガラガラ。がらんどう
特急が止まるから大きい駅とは限らないのです
わがまちご当地入場券池田駅(24枚目)
多少の遅れがあったものの列車は無事に池田に到着。この列車をもって窓口が閉まるようで、ギリギリご当地入場券を買うことができた。計画ではこのまま池田で1時間半待機して次の列車を待つはずだったが、Googleマップを見たら隣の利別駅まで歩けそうだったので1本いっとく? 的なノリで行軍開始。
意気込んで歩き出したはいいが、駅から離れてものの数分で後悔の念に苛まれる。
こえーよ。
なんか久しぶりだよこの恐怖感。
利別で待つ
暗く肌寒い池田の街なかを一人歩き、ひどく陰鬱な気分になる。ただそんな中にも救いの神はいるもので、やっぱりあったセイコーマート。いてほしいときにそばに寄り添ってくれる、頼もしい存在だ。晩ご飯を食べるような場所もないのでセイコーマートのホットシェフにすがろう…と思いきやこの店舗ホットシェフねーじゃねーか!! それでも普通のコンビニ弁当が置いてあるだけ助かった。利別駅に着いたら食べよっと。
車すら少ししか通らない
命のセコマ
利別には割と余裕を持って着くことができた。ここも無人駅なので特に何があるわけでもないし、列車を待つ人の姿もなかった。発車時刻の2153時まではまだまだ時間があるのでさきほど購入したザンギ弁当をいただく。んーこれぞ北海道の味。疲れた身体に染みるぜ。食後、駅を散策しようとホームに出てみるけど灯りがなくて、これはアレだ、オカルト板に上げられるヤツだ。
こんなにでかいのに使われているのは向かって左側だけ
在りし日の窓口を忍ばせる
高カロリーなザンギ弁当がうれしい
ホームに行きたくないな…
2148時。定刻通りにやってきた普通列車に乗り込みこの日最後の目的地、帯広駅へ。上下線がいっぺんにやってきたから一瞬乗り間違えそうになった。あぶねぇ。やっぱり車内はガラガラで、乗客は皆どこか疲れた表情を浮かべていた。それを尻目に先ほどセコマで買っておいたガラナを一気飲みして僕のテンションは急上昇。まぁただの気休めですけど。約30分後、帯広に到着。
希望の灯り
上下線を間違えるところだった
セコマオリジナルのガラナ
この日も長い旅だった…
わがまちご当地入場券帯広駅(25枚目)
帯広のみどりの窓口は営業終了時間の直前だったため急いで入場券を購入し、さらに駅スタンプを押印。印影がリニューアルされていて、前のデザインのものは残念ながら残っていなかった。帯広での一連の行動を済ませると一気に疲労が押し寄せてきた。翌、最終日も、まー早起きしなければならない。駅前のホテルニューオビヒロで一杯呷ると襲ってきた睡魔に抗えず倒れるように眠ってしまった。
2230時でこの有り様。帯広ってもうちょっと栄えてるでしょ
昔ながらの駅前ホテル