ゾクゾク!! 網走万が一
極寒の網走にだって朝日は変わらず昇ってくる。希望に充ち満ちた陽光と、
部屋の中なのに感じることのできる真冬の澄んだ空気が最高に気持ちいい。
監獄か。JALPAKできたツアーもいよいよ最終日。1455時に女満別空港を発つ便で羽田に戻るため、いつものようにガッツリというほどはできないが、やっぱり乗れるだけ乗りに行く。ホテルの朝食で腹ごしらえをして、網走駅に向かう。寒。

ビジホによくあるバイキング

網走川から湯気が立ちこめている。落ちたら死ぬ

駅前の電話ボックス。よく見ると…

クリオネがあしらわれている。唐突
寒々しいホームには既に特急大雪2号が入線していたが利用者の影はまばらだ。特に駆け込み乗車をするような人もいないのんびりとした中、0806時の定刻を待って網走を出る。この日、まず向かうのは美幌駅だ。Wikipedia先生によると美幌駅は「君の名は」のロケ地だったんですって。1953年公開の、全然前前前世とか関係ないやつ。

網走駅で改札を待つ人

国鉄みたいな駅名標。行き先がない

特急大雪はキハ183系

無料だから少しの区間でも指定席を取る貧乏根性
美幌駅にスタンプはありませんでした
30分ほど揺られ、おおむね予定通り美幌駅に着いた。美幌駅は無人駅なのだが、美幌観光物産協会が同居して、ちょっとした売店があるため人の気配はある。んだば駅スタンプもあるんじゃないか、と店員さんに聞いてみたが、案の定というか、当然というか、「ない」とのこと。でも鉄道グッズが置かれた台はわたしの旅スタンプ台に他ならないんだ。実はどっかに隠れているんじゃないのか。

美幌駅ホームは開放感がある

立派な駅舎で無人駅

わたしの旅スタンプ台! わたしの旅スタンプ台じゃないか!!

あっ彗星だ
美幌のご当地入場券は駅からほど近いセコマもしくは1キロ離れた商工会議所で販売しているという。どっちも〇簡マークが入っているタイプだからどっちで買ってもいいのだが、3時間の待ち時間を潰すために両方行くことにする。
雪道を歩くのもだいぶ慣れたが、それでもやっぱり普段使わないような筋肉を使って歩いているからか、足への負担は相当なものだろう。しかもうずたかく雪が積まれて見通しがものっそい悪くなっている歩道を行かねばならないから精神的にも負担は大きい。毎日こういう道を歩いている道民はタフだと心から思う。

美幌町によくある風景

立派な建物に入っていく

ちゃんと美幌駅関係だと分かる掲示があった

道民のオアシス・セコマでも入場券を買いました

わがまちご当地入場券美幌駅(38枚目)
無事に商工会議所とセコマでご当地入場券を手に入れてもまだ時刻は9時半とかである。列車の時間は1121時なのに。流石にどうしようか途方に暮れていると、駅前にバスターミナルがあるのがふと目に入った。そうそう都合良くバスなんて——そう思いつつ各路線名で検索してみると、美幌の隣の緋牛内駅近くに行くバスが1002時にあるではないか。くは〜。こういう機転が利かせられるのができるテツってもんよ。色々ポカもやるけどそれは気にしないし、本当にできるテツなら最初からバスの時刻も調べておくものだ。

緋牛内行くんですか!! やったー!!

鉄道ダイヤを補完してくれるバスは最高だ

緋牛内停留所。雪に埋もれている

危険ということがよく伝わってくる
緋牛内のバス停から緋牛内の駅は少々奥まったところにあったため、またしても雪道を歩く羽目になった。でもローソンがあるから緋牛内は都会だぞ。
ところでいやまてそもそも緋牛内に行ったからなんだと言われるとただ下車駅を増やすためとしか言いようがないんだけど、でも見てこの素晴らしい駅舎を。
だだっ広い空間にぽつねんと佇立する駅の滋味深さよ。こういうのは中も最高なんだ。
ほら。
ほら。
ほら。
ほら、あ?
ああ???
あああ!!!!!????
あああああああぁぁぁ…
まあ言うて地元民じゃないからストーブがあろうがなかろうがどっちでもいいんだけどね。でも雪国ならではのアイテムだからね、こんな無人駅でそういうものに邂逅できたら最高じゃないですか。ストーブはなくなったけど駅前には緋牛内メモリアルハウスがあった。なんだこれ。

緋牛内駅前にあるこちらの建物…

これこそが緋牛内メモリアルハウスである

ホーム側から見田駅舎。煉瓦調がかわいい

列車がやってきましたよっと
めまんべつでおまんがな
緋牛内駅にやってきた4659Dに乗り、こんだ女満別駅へ。女満別駅は立派な駅舎があるが、駅としてはやっぱり無人駅なのだ。ただし、大空町の図書館が同居していて、ご当地入場券はこちらで売っている。窓口にはオリジナルの駅スタンプも置かれていて、とりあえずは旅人にとっての係員さんの役割を果たしてくれているのが嬉しい。

対面ホームの女満別駅

通路が分かりやすくなりました(20代男性)

メルヘンチックなお城みたいな駅舎

図書館が併設されている

ついでにちっちゃな鉄道展示もある

北海道の恵みシリーズ

わがまちご当地入場券女満別駅(39枚目)
駅前の郵便局で風景印をもらうなどして、女満別で50分くらいの時間を潰す。1219時、なんだかアーティスティックなキハ40がやってきた。これが噂に聞く北海道の恵みシリーズ列車か。いい加減まだキハ40を改造してこき使おうっていうところにJR北海道の気概を感じるぜ。この頑張った車両に乗り込んでこの4日間の旅の終着駅へと向かう。それがこれである。
女満別空港最寄り駅、西女満別駅。
西女満別は、えっこれが空港最寄り駅? というくらい人里離れたところにある無人駅だ。タクシーなんて停まっていないし、利用者だっていない。斜めった屋根は、空港最寄り駅でありながらそのステータスになびかない、アウトロー精神を体現しているようでイカすぜ。現在時刻は1225時。1455時のフライトまで2時間半もあるのだから、ここから空港までやっぱり歩く。約2キロのラストスパート、頑張れ俺の脚。

駅舎というか、小屋

駅ノートがあったのできっちり記入

西女満別駅前通りを通って外界へ出る

一見入り口が分からないため案内板が
西女満別駅前通りを抜け割に広い道へ出る。
すると、ご丁寧に空港までの案内看板があった。凄いなぁ。いろんな駅を見てきたけどピンポイントで空港までの案内図を設置しているところなんてなかったんじゃないか。初めて来た人でも安心して利用できるおもてなし精神が抜群だ。
To Be Concluded..?
一面の雪景色と澄み渡る青空。地球の大きさをありありと実感、BGMはもちろん松山千春である。道中、警邏中のパトカーが通っていったが、こんなところで何を取り締まるのだろう。

果てしない大空と広い大地

ここにも空港への道しるべが

犬がいました

「ト…」
のどかな空間をのんびりと歩いていく。なだらかな上り坂を越えると、こぢんまりとした女満別空港が目に飛び込んできた。いよいよ旅も終わりだ。釧路に到着し、その後、夕張や旭川を経由して女満別にたどり着くという、4日間にしては濃密すぎるほどだった。

奥に西女満別駅がある

あれに見えるは女満別空港

最後なので贅沢にいくら丼

デザートに濃厚ソフト
来訪当時、北海道胆振東部地震から4カ月という時期であった。震災直後に夕張支線の復旧が少々遅かったくらいで、今回訪れた地域は地震の直接的な被害はほぼなかった。しかし、残念なことに活気は今ひとつという印象であった。地震のほか、過疎化、高齢化の波が大きな要因であるというのは想像に難くない。もちろんこうしたことは北海道に限った話ではないが、それがより顕著なのであろう。
ただ、そんな中でも地域に根差す人々の営みは、旅人の心を温めてくれる。レールがつないでくれた縁だと思う。ただそのレールも存続の危機に瀕している。このままの状態が続けばあと数年で北海道の路線図はスカスカになっているだろう。そうならないために、そうしないために、列車に乗ること、きっぷを買うこと。私たちは努めていかなければならないのだ。いつか、北海道の線路に光が当たることを期待して——。
だから、みんなもご当地入場券買って、応援してね♥ ちなみに私の場合、北海道に2回来てもまだ手に入れていない入場券が62種類も残っている。果たしてがんばろうHOKKAIDO3で完結できるのだろうか…。次なる旅を待たれたい。

女満別空港から羽田空港。JAL564便機内より。