ウヰスキーがお好きでしょ

 寝過ごした!! ホーム・アローンさながら飛び起きたら出発時間でした。0613時発の列車に乗るにはバイタリティがなかった。これが、これが老いというヤツか…。だがまだ慌てるような時間じゃない。この日は函館本線のいわゆる山線、ニセコ方面を巡るのだが、0704時に出る後発列車がある。とりあえずこの列車で仁木に向かうことにしよう。


小樽駅
朝の小樽駅は閑散としている
小樽駅
寝坊したけど立て直すぜ
小樽駅
るたお
小樽駅
ホームに残る手洗い場



 乗り込みました1928D、仁木には0744時に着く予定でございますが、停車しました余市駅、なんと交換待ち合わせがあるじゃあありませんか。ただでは転ばない私、ここぞとばかりに10分の待ち時間で余市をクリアでございます。


ランチパック
ランチパック ジンギスカン
おにぎり
どこ産の昆布だろうか
余市駅
立派な駅舎の余市駅
余市駅
ソーラン武士て

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券余市駅(69枚目)



 ラッキーパンチで余市をクリアし、同じ車両に乗り込む。そして仁木には0744時に到着。この駅もご当地入場券があるのだが無人駅のため、600メートル離れたセブンイレブンで発売されている。セブンまでは往復14分。次の列車は0811時発で、それで余市に行く予定だったのだが、先述の通り余市に行けてしまったので万が一遅れてしまっても問題ない。寝坊がなんぼのもんじゃい。立て直したZ!




 人っ子一人いない仁木駅前通りを一人とぼとぼと進んでいく。この日は曇りということもあり寂寥感がこの上ない。ようやく人っ気が出てきたコンビニでご当地入場券を購入し、すぐさま来た道を折り返す。無人駅の多い山線は結構くせ者で、ご当地入場券が駅でなく別の場所で売られていることが多い。今回は余裕を持ってこなせたがこの先、果たしてどうなることやら…。

仁木駅
仁木は立派な駅舎だけど無人駅
仁木駅前
いい雰囲気の道道
セブンイレブン
仁木駅のご当地入場券はこのセブンで
仁木駅
仁木駅の有人化頑張ってください

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券仁木駅(70枚目)



昆布産昆布はあるのか

 次は既に訪れてしまった余市。結局列車に間に合ってしまったので再訪してみよう。まぁ行ったところで何があるわけでもないんだけど。0830時、のほほんと余市を出発して倶知安へ向かう。倶知安はきちんと窓口があるのでご当地入場券もここで買うことができる。それもそのはず、いずれこの駅は北海道新幹線の停車駅となるのだ。ホントに? 「んゃちっく」って書いてあるのに?


余市駅
余市から倶知安へ
倶知安駅
倶知安駅。いずれ新幹線が停まる駅に。
倶知安駅
!にんゃちっくが線幹新
倶知安駅
新幹線がくっちゃんに!

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券倶知安駅(71枚目)


 滞在すること約30分、んゃちっくを0943時に出る列車に乗り込む。次に向かうのは全国でも珍駅名として知られる昆布だ。ちなみに北海道には根室本線にも似たような昆布盛という駅が存在する。昆布が獲れるようなところは他にもたくさんあるだろうになぜ北海道に集中しているのだろうか。謎は絡まるばかりだ。そう、まるで海中で揺れる昆布のように。



 1010時、くだんの昆布に着いた。昆布に着くって凄い日本語だな。そう考えると昆布に住んでる人もいるわけだからな、自己紹介では出身地言っただけで毎回ドッカンなんだろうな。

 「あたくし、生まれも育ちも蘭越・昆布。使った産湯に出汁がでました」

 うーん、わけわかめ。昆布だけど。この昆布ももちろん無人駅なのだが、ご当地入場券は駅前のらんこし・ニセコエリア情報センターで発売している。


昆布駅
昆布駅に昆布要素は少ない
昆布駅
昆布駅の待合室にも昆布要素は少ない
昆布駅
駅名標にも(ry
らんこし・ニセコエリア情報センター
駅隣接の情報センターでご当地入場券を購入

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券昆布駅(72枚目)


 昆布では1時間ほど待ち時間がある。駅の反対側にある温泉では時間をつぶせそうだが、雨も降ってきたし湯冷めしてしまいそうだ。うん、まあ、それもそうだが入ってしまったら多分そのまま寝てしまう。というか住む。昆布に住む。はっ、こうして昆布の住民になっていくのか…。温泉でいい出汁でるな!



熱郛チャレンジ



 昆布出汁駅を満喫したところで、次はニセコ! 今やこの山線はニセコのために存在しているといっても過言ではないだろう。ニセコと言えば登山にスキー、ニセコアンヌプリと羊蹄山が世界中の人々を魅了する北海道でも特に人気のあるスポットだ。まぁ鉄道に乗るだけだから自分には関係ないけどね! HAHAHA!



 ニセコでは約1時間半の待ち時間がある。隣駅の一つ、比羅夫まで歩こうにも8キロ以上あるのでここはおとなしくニセコに逗留することにした。

 駅前にはオレンジ色のカボチャがポコポコ置かれており、一足早いハロウィンの装いとなっていた。まあ駅舎が西洋風デザインだし、外国人多いし、舶来の文化を取り入れればウケるんだろうけど、ちょっと置きすぎじゃない? アレだよね、マリオに出てきそうだよね。カボチャ王国。パンプキングダム。置物のジャックオーランタンかと思ったら話しかけてくるようなヤツね。駅併設のカフェでカレーを注文したけど、カボチャが入っていたらどうしようと思ったけど、入っていませんでした。


ニセコ駅
カボチャまみれのニセコ駅
ニセコ駅
大正浪漫て感じ
SL
駅前にはSLが保存されている
昼食
カレーを食べました

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券ニセコ駅(73枚目)


 さて、1252時に普通列車でニセコを発ち、次に向かうのは熱郛。初見ではまず読めない。「ねっぷ」という。もっとこう、あるじゃん、「ぷ」の字。音威子府は「府」だし、比布は「布」だし、下徳富は「富」だし、節婦は「婦」だぞ。なんでよりによって「郛」とかいう使いどころの分からない字を当てたのだろう。難しい字を使いたがる厨二がいたのか。町の名前も「“黒”松内」だしやっぱり厨二じゃん!!

 まあそれはさておきこの熱郛ではこの日最大の試練が待ち構えているのだ。熱郛は無人駅なのでご当地入場券の発売は750メートル先の道の駅くろまつないで行われている。それはいい。地域が協力するというとてもいい取り組みである。問題は、列車の待ち時間が17分しかないということである。Google先生によると片道徒歩9分。うん、無理じゃん。



 でもやります。やればできる。やるしかないんだ。私には中学時代駅伝で鍛えた脚があるんだヒェェーイ!! 熱郛に着いて扉が開く音を号砲代わりにスタートを切る。なんと、もうお一方同業者が駆け出しているではありませんか。ふふん、これぞレースの醍醐味よ。譲り合いの精神は大いに持ち合わせているが、こればかりは絶対に負けられない戦いなのである。松木安太郎の絶叫が脳裏をよぎる中、全力疾走したところ3分で着いた(レースにも勝った)。

道の駅くろまつない

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券熱郛駅(74枚目)


 道の駅はそこそこの人の入りだったが、入場券を発売しているカウンターは空いていた。大体こういうところは待たされるのだがタイムロスなく済んだ。さらに駅スタンプもあるというので忘れずに押す。バックヤードにしまわれていたので知る人ぞ知る駅スタンプかもしれない。ここまでは怖いくらいに順調である。このあときちんと駅に戻るまでが熱郛チャレンジだ。何せ1354時の列車を逃したら次は1709時なのだからなんとしても戻らねばならない。全力疾走再び。いい加減死ぬ。


熱郛駅
熱郛駅。熱郛ホールと書いてあるが実態は謎
熱郛駅
入場券もスタンプも道の駅で


おざわじゃないよこざわだよ

 体力ゲージが赤く点滅しているが、定刻の2分前に熱郛に戻れた。私を称えよ。いやーもう今日いいんじゃない? 頑張ったよ自分。だめ? まあまだ14時だからもうひと踏ん張りですな。

 再び下り線に乗り込み、こんだ小沢まで行く。途中倶知安で乗り換えがあり、小沢には1529時に着く。息を整えるには長すぎるくらいの時間だがしばしの休息といこう。


小沢駅
小さな駅舎がかわいらしい小沢駅
小沢駅
古びた跨線橋も現役
小沢駅
「よい旅を」がいい味を出している
小沢駅
かつては岩内線のホームがあったようだ


 ちんまりとした駅舎がかわいらしい小沢駅はかつて岩内線という路線の起点だったようだ。往時を偲ぶように跡地を示す杭が打たれていた。旅人の声で賑わったのも昔のこと、今は無人駅の一つとして列車の行き交う音だけが響いている。

 そんな小沢のご当地入場券も例によって駅前の商店で発売している。年季の入った店舗ではおばちゃんが快く対応してくれた。

 聞けばちょくちょく入場券を買いに来る人がいるようで、もうずっと休みを取らず店を開けているという。確かに遠方から来てお店が閉まっていたら、旅人のがっかり感は余りにも大きい。そのようなことのないように、という配慮に温かい気持ちになった。地元密着でやってきたお店だからできることだろう。ダイヤ的に組むのが難しい駅だったけど来て良かった。


商店
駅前佐々木商店でご当地入場券を購入
商店
簡易委託でもしていたのだろうか? 大都市に混じって富山がある

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券小沢駅(75枚目)


 1617時、続いて小沢から倶知安を経て長万部に向かう。長万部に着くのは1830時。遠いなぁ。着いた頃にはもう真っ暗で、寒くて、それはまるで僕の心を絵に描いたかのようだった——。などと、新海誠の心理描写みたいなモノローグを思い浮かべてみたけどかえって空しさが増すばかりであった。

 しかもみどりの窓口が1815時で終了しており、ご当地入場券を買えないという運のなさ。いや、分かっていた。分かっていたんだ。みどりの窓口の時間に間に合わないというのは分かっていた。でもほんの15分だからもしかしたらまだ待ってくれているんじゃないかって淡い期待を持っていたんだ。でもガジガジにシャッターが下ろされていたのよ。小沢の佐々木商店を見習ってほしいもんだ。なんかもう悔しいので次の八雲でお寿司を食べました。おいしかったです。


長万部駅
長万部駅に到着
長万部駅
窓口は無情にも閉められていた
八雲駅
長万部から八雲へ
寿司
八雲駅前でお寿司を食べました

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券八雲駅(76枚目)


 八雲駅を出たのは2052時。特急スーパー北斗22号で、この日最後の目的地・駅まで行く。森は駅前にホテルがあるんだ。知ってるぞ。なぜなら2017年の超高速北海道紀行の時もここに泊まったからな。変わりゆくものがあれば変わらぬものがある。駅スタンプは新しいものになっていたが、ホテルは変わらず駅前で私を迎え入れてくれた。これで4日目も終わり。翌日、最終日はちょっと変わった行程だが、朝8時発なのでゆとりはありそうだ。

 だからセブンで買った北海道ミルクバニラバーなんて食べちゃうぞ。さすが、北海道のコンビニには北海道産牛乳で作った北海道ならではのアイスが置いてあるんだな。と思いきや赤城乳業が埼玉で作っているじゃねーか。逆輸入かよ。


森駅
この日の目的地・森
森駅
スタンプが更新されていた
ルーストンホテル
前も使ったルーストンホテル
ガラナ
北海道で作れよミルクバニラバー

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券森駅(77枚目)