間歇泉では完結せん
最終日は道南を回る。回るといっても、最終日は得てして切り上げる時間も早くなるから行ける駅はたかがしれている。だが、そんな中でもベストを尽くすのが乗り鉄よ。なんと言ったって翌日から再び地下労働、シャバにいられる間くらいは好きに動くべきなのだ。
まずはいつもよりだいぶゆとりのある0800時に森を出る列車で鹿部に向かう。鹿部は函館本線の支線、いわゆる砂原支線側にある無人駅だ。だからここのご当地入場券は熱郛よろしく道の駅で売られている。また数分ランニングチャレンジかと思いきやその距離7.2キロ。遠。
のんびりと森駅からスタート
森駅の跨線橋からの眺めはステキ
サボにはどこを経由するかが書かれている
ザンギ巻きなるものを朝食とする
じゃ、どーするかってーと、バスです。路線バス。鹿部駅から道の駅とかいう誰得路線であるにもかかわらず、鉄道との接続が上手いことハマるとこれはもう優勝したも同然である。もはやご当地入場券コレクター向けの路線といっても過言ではない。
渡島半島の東側、太平洋沿いを走る列車に揺られて鹿部駅に着くと、びっくりするくらいの数の若者が乗り込んできた。いやまあびっくりするくらいっつっても10人くらいなんだけども、全然ノーマークの駅でこんなに人にいられると度肝を抜かれるね。若者よ、そんなに群れてどこへゆく。
そんな人々を尻目に立派な木造の駅に降り立つと、すでに駅前のロータリーにはバスがぽつねんと停まっていた。ダイヤによると2分後に発車するというので駅を堪能する時間はなさそうだ。
太平洋の近くを走る
鹿部からそんなに急いでどこへゆく
ホーム側から見た鹿部駅
左端のバスで道の駅へ
ほぼ貸し切りのバスに揺られること約20分、道の駅しかべ間歇泉公園に到着した。朝の9時前だが道の駅だけあって、駐車場には数台の乗用車やバイクが停まっていた。爽やかな陽光に照らされ、なんとなく朝の賑わいが始まってきたくらいのタイミングだ。次のバスまでは約1時間。とりあえずご当地入場券の購入と駅スタンプの押印を済まそう。そう、道の駅のスタンプに加え、JR鹿部駅のスタンプもここに置かれているのだ。イイネ!
道の駅は海沿いにあり、心地よい風が吹く
朝早いため人影はまばら
鳥羽一郎さんの北斗船の歌碑がある
どちらも道の駅で
わがまちご当地入場券鹿部駅(78枚目)
早々にやることをやってしまうともうバスの時間まで暇である。であれば、道の駅を見学するほかない。内部に入るには入場料300円が必要だけどご当地入場券の特典で200円になりました。やったぜ。ここに来て初めてご当地入場券の特典を使ったかもしれない。内部に入って何があるかというと、その名の通り間歇泉である。
宙に円盤みたいなのが浮いているあそこが間歇泉である。どういうこっちゃ、と思われる方はさっさとスクロールしてほしい。
おお、これはかなりの迫力だ。あの円盤がなかったらもっと高く噴き上がってしまうのだろう。gif動画だと今イチ凄さが伝わりづらいけど、これが3分くらい続く。一気に噴き上がる泉は大地の力強さを感じさせるな。普通に駅巡りをしているだけでは絶対に来ていなかったと断言できるからご当地入場券さまさまである。いいもの見られたぜ。ちなみにこの有料エリアにもひっそりと記念スタンプがあったのでスタンプ収集マニアはやはり来るべき。
はるばる来たぜ新函館北斗へ
間歇泉の噴出を見ながら足湯に浸かり、道の駅を存分に満喫したところでバスの時間が近づいてきた。こんだ、鹿部駅でなく大沼公園駅に向かう。上手いことバス路線があって本当に助かる。
あれに見えるは北海道駒ヶ岳
バスで大沼公園駅近くまでやってきた
峨々とそびえ立つ北海道駒ヶ岳を望みながらバスは私を乗せて大沼公園へと走っていく。乗車時間は35分。鉄道だとほんのちょっとと感じる時間だけどバスだとほんのちょっとしんどい。
果たしてバスはほぼ定刻通り大沼公園駅近くの停留場に滑り込んだ。列車の時刻は約20分後の1050時。窓口でご当地入場券を買えるのだが、長そうな先客がいたので駅の隣にある交流プラザに立ち寄ってみた。スタンプがあるかもしれないからね。そしたら案の定ですよ。記念スタンプがあるじゃあありませんか。こういうときの直感は大事にしたいね。駅に戻って入場券購入、スタンプ押印、駅舎撮影の3点セットを済ませる。せっかくの観光地だけど、観光はさっき間歇泉でしたのでもう結構です。
駅に隣接する大沼国際交流プラザ
屋根がかわいらしい大沼公園駅
ホームには結構緑がある
窓口には状態の良いスタンプがある
わがまちご当地入場券大沼公園駅(79枚目)
大沼公園駅の次は、現時点での北海道新幹線の終着駅・新函館北斗。新函館にしておけば収まりがよかったものを、なまじ北斗市にあるもんで、そんならウチの市名も入れてくれよとゴネた結果、後置修飾のようにくっついてきやがった。首都大学東京かってーの。
その点浦安は寛大だよ。東京ディズニーランド浦安にしろって言わなかったんだもの。いや言ったのかもしれんけど。そこは何か不思議な力が働いたのだろう。JR北海道にそんな力はなかったのだ。まあでも北斗って市名は強そうだよね。ケンスケを尻に敷いてそうで。
じゃあここで新幹線に乗るのかといったら、乗るんだけどまだ乗らない。ほら、本物の函館も行かないといけないんだけど本物の函館には新幹線では行けないから新函館北斗で本物の函館行の在来線に乗り換えなくてはならないのだ。乗り換え時間は9分。いつもだったらこの9分でスタンプ押したり入場券買ったりするけど、どうせまたすぐ戻ってくるので今はスルーしてそのまま本物の函館に向かおう。
ちなみに本物の函館までは鈍行で約25分かかる。うーん、在来線駅と新幹線駅の距離じゃないな。途中、五稜郭駅に差し掛かると函館の独特の空気に包まれる気がする。
まるで海のように広い大沼
新函館北斗ではまだ降りない
五稜郭機関区なんてあるのか
五稜郭駅の駅名標は独特な感じ
さあそして時刻は1138時、はるばる来ました函館。
やっぱりいいねえ、雰囲気が。本州とをつなぐ北海道の玄関口って感じがするよ。かつて北斗星に乗ったときも函館から東京に向かったんだった。なんてしみじみして余裕ぶっこいていると大体失敗するからさっさとやることはやろう。ご当地入場券買って、スタンプ押して、駅弁も買っちゃおう。そもそも滞在時間は24分しかとれないし。まずはご当地入場券じゃ。
ほんならこのヨミが大当たり、万馬券の払い戻しをしてもらいたいくらいだ。みどりの窓口には重賞開催日のウインズかってくらい人であふれかえっている。きょうはダービーめでたいな。遅々として進まねぇ居並ぶ名ババどもをごぼう抜きしてぇよ。いつしかトップに躍り出てようやく窓口にたどり着いたのは列車発車の8分前とかですよ。こんなんじゃ駅弁を買うことはおろかスタンプも押せない。函館駅は広いんだぞ。急いで改札を抜けてなんとか列車には間に合ったけど函館ってもっとゆっくりするところですかんね。せめて写真だけでも載せてやる。
函館本線の0キロポスト
夜景が綺麗なんでしょ? 知ってるよ、見たことないけど
線路の端っこっていいよねぇ
ホーロー看板も独自のもの
函館本線起点の駅名標
はこだてライナーで新函館北斗へ
わがまちご当地入場券函館駅(80枚目)
えきねっとトクだ値は本当にお得だね
1202時、新函館北斗にとんぼ返りじゃーい。今回はさっきできなかったご当地入場券やらスタンプやらを履修。スタンプは前に押したときよりかなりへたってきていた。なんやかんやでそれなりに利用者はいるのだろうか。そう思ってふとWikipedia先生に尋ねてみたら、1日平均乗車人員は637人(2018年)。全然じゃねぇか。頑張れよ新函館北斗。
駅前も小綺麗な新函館北斗駅
新函館北斗駅のスタンプは結構へたっている
わがまちご当地入場券ニセコ駅(81枚目)
さあ、ここからはいよいよ新幹線である。ご当地入場券は北海道新幹線の駅でも発売されているので一通り行かねばならない。まぁ! 新幹線なんてブルジョワよブルジョワ!! なんていう御仁、世の中にはえきねっとトクだ値とかいう素晴らしいきっぷがあるのです。使える列車は限られるけど、上手くハマればこの上なくお得なきっぷだ。今回はこれらを使った。
新函館北斗から奥津軽いまべつ、奥津軽いまべつから木古内、木古内から仙台、仙台から宇都宮というルートだ。
宇都宮は私のホームタウンで帰るべき場所なのだが、北海道新幹線は宇都宮に停まらないから仙台で東北新幹線に乗り換えるのだ。これだけ新幹線を満喫しても23,520円。フツーに新函館北斗から宇都宮まで新幹線で行ったとしても2万円くらいするのでそれと遜色ない。また、函館空港から羽田空港までの空路を使ってもなんだかんだで2万円くらいするから、この選択が最適解だったといえよう。ホントは新幹線駅は諦めようと思ってたけど、えきねっとやりよる。
1248時、新函館北斗を出る北海道新幹線に乗り込み奥津軽いまべつへ向かう。奥津軽というくらいだから青森にあって、北海道ではない。北海道ではないけどJR北海道が管理する駅だからご当地入場券も発売している。そんなことする? マジでコレクター泣かせ。道内は車で移動している輩もこの区間だけはどうあっても北海道新幹線に乗らざるを得ない。まあトクだ値を得た私にとってはもはやどうでもいいこと。さっき買ったかにめしを食べながら雅やかに青函トンネルをくぐろうじゃないか。
新函館北斗でかにめしを調達
ほぐしたかにが輝いている……!!
トンネルを抜けると誰もいなかった。マジでいねーんだわ。なぜって、この駅の1日平均乗車人員は驚きの28人(2018年)。ぶっちぎり。ぶっちぎりのワースト1。新函館北斗なんて目じゃない。そらもう津軽半島のどん詰まりみたいなところだからいかんともしがたい。というか行かんとも行きがたい。有人改札で無効印押してもらったら心なしか駅員さん嬉しそうだったよ。どうなってんだ。一応津軽線の津軽二股駅が隣接されているのだが、いずれにせよ利用者数は推して知るべし。
ぼくがとったさいきょうの青函トンネル
建物は立派な奥津軽いまべつ駅
津軽線の津軽二股駅。こっちはJR東日本管轄
駅スタンプは改札外に2種類
わがまちご当地入場券熱郛駅(82枚目)
がんばろうHOKKAIDO 〜完〜
そんな奥津軽いまべつでの滞在時間はこれまた驚きの13分。すぐにやってくる下り列車を捕まえなければこんな何もないところで待ちぼうけを食らうことになる。というかせっかくのきっぷの意味がなくなる。
さっさと青森を後にしてこの旅最後の駅・木古内へ行こう。珍しく旅客が来たというのに嵐のように駆け抜けていったから、改札で見送る駅員さんは心なしか寂しそうだったな。申し訳ないな。またいつか来るさ。10年後くらいに。
この日2度目の青函トンネルで再び北の大地へ。1420時、新幹線は定刻通り木古内へ到着した。木古内には新幹線開業前に来たことがあるが、その後は訪れるタイミングがなかったのでどう変わっているのか楽しみだ。
ぼくがとったさいきょうの青函トンネルその2
スタイリッシュな北海道新幹線の駅名標
木古内のキーコがお出迎え
江差町のポスターも。かつては江差線が延びていた
駅舎内にはパネルやポスターが置かれており、実に新幹線の駅の装いになっていた。果たしてその外観はというと……
はいどーん!!
ぐわわー、立派な駅舎に様変わりしていらっしゃる……。ほんの5年前まではこんな感じ↓だったのに……。
あ、でも新幹線開業によってJRから分離された道南いさりび鉄道側はちょっと面影があるな。三角のところに。それでもだいぶ整備されたと思う。駅前に道の駅とかできてるし。
さあ、泣いても笑ってもこの駅がラスト。みどりの窓口でご当地入場券最後の1枚を購入し、今回の旅を締めくくった。
わがまちご当地入場券木古内駅(83枚目)
消費増税でJR北海道の入場券もあおりを食って200円になる。まあ便乗値上げというほかないだろうが、170円で発売しているご当地入場券はこの日で終わりを告げる。
私が約2年にわたり3回実施した「がんばろうHOKKAIDO」では、胆振東部地震の復興の一助という大義名分を掲げて多くの場所へ足を運んだ。JRだって被災したんだから、少しでも復旧の足しになればと入場券を集めていたが、これは実に楽しかった。まだ行ったことのないところに行くきっかけにもなったし、自分の成長の糧にもなった。結局ご当地入場券のフルコンプは叶わず、19自治体分が揃わなかった。だが北海道も徐々に地震から立ち直ってきたのではないだろうか。だとしたら何よりだ。
北の大地はまだまだポテンシャルがある。また次の企画があれば私は喜んで北海道に飛ぶだろう。そのときまで、また。
新幹線のスタンプが新たに置かれていた
うちに帰ります
なーんてこんな中途半端に終わってたまるかーい!!
ご当地入場券集めは続くのだよ。あと20程度だろ? ヤフオクだのメルカリだのあるじゃないか。簡単じゃないか。
ご当地入場券集め完結編
じゃあ最初からヤフオク!とかで全部集めればよかったじゃん、なんて言うなかれ。あくまで自分でできる限りのことを尽くした結果、どうしても無理だった場合の救済策である。カードのトレードだって似たようなもんじゃろがい。
旅を終えてまだ手にしていないのがこれらのご当地入場券だ。
・長万部・鵡川・新冠・幕別・豊頃・浦幌・浜中・釧路湿原・標茶・摩周・清里町・知床斜里・浜小清水・妹背牛・秩父別・石狩沼田・留萌・愛別・塩狩
うーん、見事にバラバラの19駅だ。この2年間で留萌本線はともかく、釧網本線すら全く行かなかったんだな。とりあえずこれらはマスト。そしてさらに……
・新夕張(簡)・十勝清水(簡)・芽室(簡)・幕別(簡)・標茶(簡)・摩周(簡)・留萌(簡)・上富良野(簡)・士別(簡)・名寄(簡)・音威子府(簡)・安牛(簡)・稚内(簡)
これまでもちょいちょい出てきていた
(簡)マーク付きの駅がいくつかある。宗谷本線は駅の営業時間が短いからか、コンビニなどでも売っているというところが多い。でも当時はこの(簡)の存在に気付かず、駅で買えたら満足してしまっていたのでめちゃくちゃ残っているんだよねぇ。
これら
計32種類をヤフオク!などを駆使して集めていく。
2020/5/6 ラクマ購入分
いよいよそのときが来た。なかなか出品のなかった摩周(簡)が
ラクマで見つかったのだ。うーむ、穴場としか言いようがない。価格は650円と過去最高額だが、クーポンを使って500円で購入した。これを以てマジで
全種類制覇と相成った。いくら使ったかなんて知りたくもないね。
わがまちご当地入場券摩周駅(92-2枚目) これを以てコンプリート!!
おまけ 応募券特典
わがまちご当地入場券は右端についている応募券を10枚集めてJR北海道に送ると、特典として車両カードが送られてくる。そのカードにはまた応募券がついていて、それとご当地入場券の応募券を10枚送るとまた別の車両カードが送られてくる。そのカードにも……。という感じで5種類までもらえる。今回それらも全て集めたので紹介しよう。
わがまちご当地入場券特典 北海道なつかしの普通列車
わがまちご当地入場券特典 北海道なつかしの快速列車
わがまちご当地入場券特典 北海道なつかしの急行列車
わがまちご当地入場券特典 北海道なつかしの特急列車
わがまちご当地入場券特典 北海道の事業用車両
以上、これで
本当に全て揃った。特典のカードも応募券つきの完品で残したかったから、応募用だけで150枚のご当地入場券を費やしているし、完品で残すご当地入場券が102枚あるし、なんなら予備で多めに買っているところもあるし、そうして私は
考えるのをやめた。まあまあそれなりに薄給を投じているのでJR北海道はもっともっと頑張ってくれたまえ。でも収集系はもうしばらくやりたくない。
がんばろうHOKKAIDO 全3部 完