ご当地入場券収集ファイナル

 また、来ちゃった。

 消費増税を控えた2019年9月。私はまたしても北海道に足を踏み入れていた。前回の旅では廃線となる夕張支線に行くのが主目的だったが、今度は違う。訪れるたびに買っていたわがまちご当地入場券が9月末をもって発売終了となってしまうので、急いで集めに行かなければならないのだ。駅巡りのついでにやっていた入場券集めがメインとなり主従関係が逆転してしまったように思えるが、そもそも一連の北海道旅行では「復興振興」を掲げている。北海道、そしてJRにお金を落とすことで、少しでも北海道地震からの復興の足しにしてもらいたいというねらいがあるのだ。もちろん、湯水のごとくお金を使うための大義名分という名の言い訳だ! 解散!!

新千歳空港駅


 前回はJAL PAKという神々しく光り輝くパッケージがあったのだが、今回は期間外なのかパッケージ自体がなかったため、航空券もきっぷも別個である。その分たくさんお金が落とせるね! というわけで、特急を含むJR北海道在来線が乗り放題となる北海道フリーパスを活用し、5日間かけて道内を巡る。

 ところで、前回までに集めたご当地入場券は39駅分。だから今回は40からスタートするかと思いきや、実はこの旅の3週間ほど前、所用で日帰り北海道という暴挙に出ていたのであった。なんでそんなことをするのかというと、それはもうかけがえのない心の友のため、としか言いようがない。劇場版ジャイアンか。とにかくそんなことがあったので、隙を見て由仁駅と栗山駅の2駅分は買っていたのであった。つまり現状は41/101。今回の旅では、残り60駅分のうち、極力コンプリートに近づけるように巡っていくのである。

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券由仁駅(40枚目) ※前回から通算します
わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券栗山駅(41枚目)


テツ旅開幕

 0800時、約1時間半のフライトを終え新千歳空港に降り立つと、北海道に着いたという感動もそこそこに早速札幌行きの快速エアポート8号に飛び乗る。いよいよ始まった最後のご当地入場券集めの旅だ。否が応でも心は弾む。札幌での乗り換え時間は3分ほど。観光客やビジネスマンであふれかえるコンコースを縫うように走り抜け、まずは函館本線で江別駅に向かう。


江別駅
平たい江別駅
江別駅
スタンプとご当地入場券

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券江別駅(42枚目)


 江別といやあね、大スタア、大泉洋さんの出身地でありますけどもね、駅はこんなにこぢんまりとしているんですね。下車印、駅舎の撮影、スタンプの押印、そしてご当地入場券の購入といういつも通りのタスクをこなし、特にサイコロの出目で行き先を決めるでもなく、1000時の列車で岩見沢駅へ向かう。


岩見沢駅
岩見沢のスタンプは劣化ぎみ
特急ライラック
ライラックで滝川へ

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券岩見沢駅(43枚目)


 岩見沢では後続の特急ライラック11号を捕まえねばならず、滞在時間は8分しかない。駅舎の撮影とスタンプはかつて済ませているため、ご当地入場券をなんとしても確保したい。やたらと主張するおじいちゃんがいて一向に空く気配のないみどりの窓口に並び、ようやく自分の番が回ってきたのは発車3分前。全く、ひやひやさせやがる。

 ただ、焦りすぎてスマホケースに挟んでいたPASMOを落としてしまった。期限切れの定期だし利用もほぼなかったので特に実害はないのだが、後日岩見沢警察署から「取りに来ますか?」って電話がかかってきた。ありがとう届けてくれた人。でも取りに行くのは無理です。ところで、これまでの私ならスタンプ帳など、致命的な落とし物をしていたところだから、旅を通じて成長をありありと感じる。いや、落とすなって話だけど。



邪道な車道で北海道


滝川駅
いい日旅立ちのペイント入り自販機
滝川駅
滝川のスタンプは新印に

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券滝川駅(44枚目)

 岩見沢を出たライラックは、1052時、定刻通り滝川駅に着いた。3年ぶりの来訪でも自販機の裏面に描かれた「いい日旅立ち」のペイントは変わらず残っている。一方、当時工事されていた駅舎は立派な姿を現しており、確実に過ぎゆく時間の流れを感じる。スタンプの絵柄も新しいものになっているし。

 さて、ここまでは予定通りことが進んでいるが問題はこれから先である。道央と道北の狭間みたいなところに多数存在するご当地入場券発売駅を効率よく巡るため、私がたどり着いた解がこれだからだ。

レンタカー


 レンタカー(2年連続2回目)である。

 去年日高方面に行った際も借りたが、あれは純粋に移動するためだった。だが今回はガッツリ駅巡りに使う。こうあってはテツの名折れだがご当地入場券を集めるという背に腹は代えられん。男なら…やってやれ! だ!

 ではこれでどう巡るかというと、大まかにレンタカーを借りた滝川周辺→富良野周辺→当麻周辺→深川で乗り捨てというルートを採用。ただし深川のレンタカー屋が閉まる1800時がリミットである。それまでに果たして全て回れるのだろうか…。



 Googleマップ先生の言うことにゃ、ぶっ通しで行って約5時間半ときたもんだ。レンタカーを借りた時点で1115時だから単純計算で17時くらいには深川に戻ってこられる。もちろんんなこたぁ不可能だということは重々分かっているが、極力多く回れるよう頑張るしかない。ちなみに滝川と深川は目と鼻の距離だが、トヨタレンタカーのエリアが異なるため乗り捨て料金がそれなりにかかるぞ!



新十津川に行った理由は最後に分かります

  滝川を出てまず向かうのは、2020年5月6日を以て廃止が決まっている札沼線末端区間の終点、新十津川駅だ。新十津川は以前も訪れているし、ご当地入場券と新しいスタンプをこなせればOK。滝川からは車で10分ほど。確かに開けた滝川とこんなに近いのでは廃止もやむなしといったところ。


新十津川駅
3年前と外観は変わらぬ風情がある新十津川
新十津川駅
待合室はゴテゴテに
新十津川駅
ラストランまであと225日!
新十津川駅
サッポロビールじゃないホーロー看板

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券新十津川駅(45枚目)


  3年前に訪れたときよりも廃止特需に向かって盛り上げて行っているような感じがした。駅には地域おこし協力隊がいてご当地入場券の発売を行っているし、殺風景だった待合室もなんだかごてごてしている。これ廃止後はどうなっちゃうんだろうなぁ。駅舎内にはスタンプが2種類あるが、駅前のお店にもスタンプがあるという情報を得たので行ってみる。


寺子屋
新十津川駅前にある寺子屋
寺子屋
プレハブの中は…
寺子屋
いろんなテツグッズが!!
新十津川駅
とつかわこめぞーって誰?


  寺子屋という名のプレハブ店舗には鉄道グッズが所狭しと並べられていた。おばちゃんが一人で切り盛りしているのだろうか、妙な時間にやってきた旅人にもとても親切に話しかけてくれた。店内に駅のものとは違うスタンプが5種置かれており、これは事前の情報がないと気付かなさそうだ。さて、お次は車で15分ほどの砂川駅へ。



支線のレイザービームで空知に描くディスカバー・ジャパン


砂川駅
こぢんまりした砂川駅
砂川駅
スタンプは改札外に2種

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券砂川駅(46枚目)


  時刻は12時過ぎ。今回はせっかく車があるのだから普段鉄道旅ではできないこともやってみたりする。恥ずかしながら直前に知ったのだが、砂川からはかつて函館本線上砂川支線という路線が出ていたという。そしてその終着駅だった旧上砂川駅跡がまだ残っていて、スタンプも設置されているというではないか。車があるって素晴らしい。ご当地入場券には直接関係ないが少々寄り道してみる。


上砂川駅



  おお、存外立派な木造駅舎ではないか!! Wikipedia先生によると、この駅舎は「昨日、悲別で」というドラマの舞台となったようで随所に悲別駅の表記が散見される。アレだ、「鉄道員」のロケ地となった幾寅駅と同じようなものだ。某スタンプサイトでは、役場への連絡が必要だと書いてあったが、出入りも自由だったしスタンプも普通に押せた。今までこういう遺構はスルーしていたが、これからはこういうところもオープンしているうちに行かないとだなぁ。


上砂川駅
今でも列車を待つ人がいそうな待合室跡
上砂川駅
窓口前にスタンプがある
上砂川駅
廃止後も駅名標が遺される珍しいパターン
上砂川駅
鶉駅などのスタンプも


怒濤の道央道北ドライブ

 上砂川の次は根室本線の赤平駅、芦別駅と回る。赤平駅は数日前にご当地入場券が一時売り切れとなったと聞いていたが、無事に買うことができた。俺は、持ってる。


赤平駅
赤平駅。まるで大人のホテ…ゲフンゲフン
赤平駅
ちゃんと入荷された入場券
芦別駅
無駄に広い待合室がある芦別駅
芦別駅
芦別もスタンプは2種

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券赤平駅(47枚目)
わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券芦別駅(48枚目)

 続いて富良野線の中富良野上富良野美瑛の各駅だ。中富良野に着いたのは1430時ごろ。中富良野は無人駅なので、ご当地入場券は近くのセイコーマートで発売している。一応駅にも立ち寄ってみると、スタンプが置かれた形跡がある。あれか、ラベンダーの時期限定とかそういうヤツか。俺は、持ってない。

 1450時、上富良野。人がいるって素晴らしい。窓口に駅スタンプ、同居する観光協会には珍しい2色スタンプがあった。

 そして丘陵地をずんずん走って1520時、美瑛。石造りの駅舎は趣がある。駅スタンプは更新されて1種類のみになっていた一方、近くの観光案内所にも真新しいスタンプが2種。


中富良野駅
中富良野駅。閑散としていた
中富良野駅
スタンプがあったであろう台
上富良野駅
上富良野はしっかり窓口がある
上富良野駅
駅のスタンプは劣化が進む
美瑛駅
美瑛駅。抜けるような青空に石造りの駅舎がよく映える
美瑛駅
古いスタンプはなくなっていた

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券中富良野駅(49枚目)
わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券上富良野駅(50枚目)
わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券美瑛駅(51枚目)


ギリギリshop

 さー美瑛の次は道北の4駅。石北本線の当麻愛別、宗谷本線の和寒比布。ただしカフェが併設されている比布以外は無人のため、コンビニなどでの委託発売がほとんどである。現在時刻は1530時。とりあえず当麻のセコマまで約40分かかり16時を過ぎる。タイムリミットの18時を考えると、全て行くのはちと厳しいか。そこで、愛別→和寒→比布と行くはずだったところ、和寒を諦めることにした。ごめんよ和寒。いつか鉄路で行くからな。和寒の犠牲の上、ギリギリ間に合いそうだ。


道

 ※一時停車して撮りました。

 刻々と迫るタイムリミット。どこまでも続く長い道。いかにも北海道らしいロード。ちょうど一年前のことを、Fくんが隣にいたことを、何でもないようなことが幸せだったと思いながらひた走る。愛が欲しい? 今から行くんだよ、愛別に!!

 したっけ、愛別のセブンがよぉ、ご当地入場券は売り切れましたとかぬかしやがるのよ。いや、だったら事前に情報流しとけよ!! 愛別に来た意味ないじゃんね。発売終了まであとわずか。今後もこういうハメになることが予想される…。やっぱり俺は、持ってない。結局、愛別と和寒の入場券が手に入らないまま比布へ。


比布駅
これが噂の比布駅
比布駅
国鉄式駅名標は駅舎の外に健在
比布駅
「小比布駅」と名付けられた物置
比布駅
スタンプと入場券は併設のカフェで

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券当麻駅(52枚目)
わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券比布駅(53枚目)
 

 比布に着くころには陽がだいぶ傾き、薄暗くなっていた。木造のかわいらしい駅舎を堪能すると時刻は17時。ここから深川までは約1時間。っつーことは最後に行こうと思っていた妹背牛駅も諦めざるを得ない。ぴえん。




復活のテツ

 

 道央自動車道をかっ飛ばすこと1時間弱、深川のトヨタレンタカーにギリギリ間に合った。うーむ、2カ所行けなかったとはいえ、アホみたいなドライブ計画でもなんとかなるもんだなぁ。深川駅まで2キロほど離れていたのでレンタカーのスタッフさんが車で送ってくれた。ありがたい。

 さ、これで初日終了…といかないのが私である。まだ一日が終わるには早すぎる。というわけで数時間ぶりに鉄道に乗り換え、駅巡りを再開するのだ。まずは1819時、特急ライラック40号美唄へ。

深川駅
深川から再びテツ
深川駅
この駅名標を見るのも久しぶりだ
特急ライラック
特急ライラックで美唄へ
深川駅
深川でもご当地入場券をゲット

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券深川駅(54枚目)
 

 すっかり夜のとばりが降りた1850時、美唄着。次の奈井江駅に行く列車まで1時間あるため夕食にでもしようかと思ったが、駅周辺にあるものはドラッグストアぐらいなもんで、営業中の食事処なんてなさそうだ。ぐぬぬ、北海道らしいものが食べたい…! まあいい、次の奈井江はご当地入場券を買うためにセイコーマートに行くんだ。それまで我慢じゃ。

美唄駅
美唄駅は西と東で左右対称な駅舎
美唄駅
美唄から奈井江へ

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券美唄駅(55枚目)

 

 奈井江に着いたのが1958時。通学の高校生が数人降りたほかは閑散とした小さな駅だった。きっぷうりばも既にこの日の営業を終え、人気をなくした待合室にはただもの悲しさが漂っていた。灯りの少ない外へ出てみると、日中暑かったのが嘘のように冷え込んでいる。ここから10分かけてセコマまで歩いて行くのだが、むしろ温まってちょうどよかった。ご当地入場券も問題なく売っていて、愛別のように無駄足ということはなかった。

奈井江駅
奈井江駅構内にモジャくん
奈井江駅
駅名標の競演
奈井江駅
この日は既に営業を終えていた
奈井江駅
奈井江駅にスタンプはないらしい(未確認)

わがまちご当地入場券
わがまちご当地入場券奈井江駅(56枚目)
 

 この日は奈井江が最後で、あとは滝川にとった宿まで行くだけである。2109時、午前中以来となる滝川駅に到着すると、辺りはしんと静まりかえっていて、やっぱり灯りはほとんどなかった。さて、なぜ滝川に泊まるかというと、翌日は札沼線の末端区間で降りていない駅、つまり新十津川以外の全駅の下車を敢行するからである。滝川から出ているバスと徒歩、そして上下線を組み合わせれば1日でも不可能じゃないのだ。ただ、それをやると新十津川には行けないので、あらかじめレンタカーで回っておいたという訳だ。なんという冷静で的確な判断力なんだ!!

 ちなみに滝川駅周辺にもろくに飲食店なんてのはなく、結局やきそば弁当だったよ!! 北海道らしいものっちゃ北海道らしいね。わぁい、やきそば弁当、あかりやきそば弁当大好き!!!!!!!!

奈井江駅
夜の闇に吸い込まれそうな奈井江駅
ホテル
これ? ホテルです。miura kaenていうホテル
ホテル
一人なのにツイン
夕食
わぁい、あかりサッポロビールも大好き